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カフェトラモナ9月のおすすめです。
上左:Howe Gelb / Gathered(2019)
2016年に新たなジャイアント・サンドを封印し、前々作『Future Standards』(2016)と前作『Further Standards』(2017)で見事な自分流の「スタンダード」アルバムをものしたハウ・ゲルブの最新作。今回は「スタンダード」にはこだわらず、自身のギターやピアノを中心としたミニマムなアンサンブルに深みのあるダークな歌声を聴かせます。デュエット相手がM・ウォード、アンナ・カリーナ、キラ・スコーフ、ピエタ・ブラウンなど豪華で、録音地も相手に合わせスペイン、フランス、デンマーク、アイルランドそしてツーソンと多岐にわたっています。
圧巻はM・ウォードと歌うレナード・コーエンの〈A Thousand Kisses Deep〉。元々はアンナ・カリーナのために用意したトラックでしたが、いささかヌーヴェルヴァーグ女優にはレナード・コーエンは暗かったようでハウ自身のヴォーカルで録り直したとのこと。コーエン・カヴァー集に新たな名演が加わりました。なおそのアンナはジャイアント・サンドの名曲〈Not The End Of The World〉を選んでいます。
上右:Calexico and Iron & Wine / Years To Burn(2019)
アリゾナ州ツーソンのキャレキシコとSSWのアイアン&ワインによる久々のコラボレーション・アルバムです。前回の共演EP『In the Reins』は2005年のリリースですから何と14年ぶり。この時は一緒に来日公演もあり、二組のタッグは印象深いものでした。その後サントラ盤『アイム・ノット・ゼア』でキャレキシコはロジャー・マッギン、ウィリー・ネルソンなど様々のミュージシャンと共演していましたが、やはりアイアン&ワインとの〈Dark Eyes〉が抜きんでていたようでした。そんな彼らの待望の『Years To Burn』はナッシュヴィルのサウンド・エンポリアム・スタジオで録られ、サム・ビーム、ジョーイ・バーンズ、ジョン・コンヴァーティノのほか、キャレキシコからポール・ニーハウス(Pedal Steel)とジェイコブ・ヴァレンズエラ(Trumpet)、アイアン&ワインからロブ・バーガー(Piano)とセバスチャン・スタインバーグ(Bass)が参加。半端ないキャレキシコとアイアン&ワインのシナジー効果をお楽しみください。
下左:Cath & Phil Tyler / The Ox and the Ax(2018)
トピックの『Vision & Revision』と並んでイングランドの現在のトラッド・シーンを俯瞰するには恰好の一枚にStick in the Wheelによるコンピレーション『From Here - English Folk Field Recordings』がありますが、そのVol. 2でアメリカーナ的ニュアンスを窺わせるバンジョーの演奏が気になっていたCath and Phil Tylerの最新作。ニューカッスルにありながらも北米の伝統音楽のエッセンスは何処から?と思っていたところ、奥方のキャス・タイラーはあのコーデリアズ・ダッドの元メンバーとのこと、納得した次第です。なるほど本作でも〈アンクワイエット・グレイヴ〉のヴァリアントをセイクリッド・ハープ曲で唄ったり、アルメダ・リドルの録音をお手本にしたりと、マーティン・カーシーなどイングランドのマテリアルとバランスよく収まっています。前作のEP『The Song-Crowned King』と併せてお聴きください。のっけのドブロがいい感じです。
下右:Larry Jon Wilson / Larry Jon Wilson(2009)
先月ご紹介したジェブ・ロイ・ニコルズは、歴史的コンピレーション『Country Got Soul』Vol. 1 & 2にラリー・ジョン・ウィルソンの〈Sheldon Churchyard〉と〈Ohoopee River Bottomland〉を収録し、その続編とも云うべきThe Country Soul Revueによる『Testifying』ではラリー・ジョン本人を引っ張り出し、新録の〈Sapelo〉と〈Friday Night Fight At Al's〉でフィーチャーしています。そして本作『Larry Jon Wilson』がジェブ・ロイによる最終的な釣果です。ここでラリー・ジョンは自作曲を中心にディラン、ミッキー・ニューベリー、デイヴ・ロギンス、ポール・シーベルなどの楽曲を弾き語っていますが、余計な装飾を削ぎ落したジェブ・ロイとジェリー・デシッカのプロダクションが武骨なカントリー・ソウル・シンガーを内省的なSSWに蘇らせました。
ご来店の際にリクエストしてください。
『Alan Patton 松浦 湊 Live at CafeToRamona』
東欧のロマ音楽などをアコーディオンで唄い奏でる八王子在住のアラン・パットンさん。
東京ローカル・ホンクと組んで制作したCD『レモンチマン』が秀逸なSSW、松浦 湊さん。
どちらもトラモナ初お目見え。どんな愉しい夜になりますか、乞うご期待です。
◆2019年10月5日(土)
Alan Patton 松浦 湊
16:00 open 17:00 start
2500円 + ドリンクオーダー
ご予約はカフェトラモナ(042-842-3488もしくはこちら)まで
先日『朝野由彦 ~星と月のランデブー』が終了しました。
朝野さん、西島さん、飛び入りで演奏していただいた律さん、細井さん、そしてお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
お陰様で大盛り上がり!!! 素晴らしく楽しいライブでした。
O. A. の西島さんはガイ・クラークなどアメリカのSSWを日本語で唄うシンガー、この日はガイの〈汽車を待つならず者のように〉を始め5曲を披露。中でもボブ・マーティンの〈ステラ・ケルアック〉は渋すぎかつ貴重な選曲です。
朝野さんは休憩をはさみ、前半は〈ろまんす〉〈巡礼〉〈もう帰るところが〉など初期の作品を中心に、後半では〈夕日の真ん中を〉〈宝もの〉〈星と月のランデブー〉などを傑作『星と月のランデブー』からたっぷり聴かせてくれました。後半中盤にピート・シーガーの〈虹の民〉が唄われたのは嬉しい驚き。ますます深化する歌声をふんだんに堪能できたひと時でした。
さらにアンコールでは昨年ツアーで一緒だった律さんと公演先の松山から駆けつけてくれたセンチメンタル・シティ・ロマンスの細井さんが飛び入り。『巡礼』の朝野由彦をラストショーとセンチがバックアップするという、夢のようなメンバーで演奏された〈ミー・アンド・ボビーマギー〉と〈旅の途中〉はトラモナの宝ものです。ありがとうございました。
明日、いよいよ『朝野由彦 ~星と月のランデブー~』 です。
午後5時スタートです。お間違いないようお越しください。
16 : 00開場、17 : 00開演
2500円+ドリンクオーダー
オープニングアクト:西島寛二
残席少々ございます。ご予約お待ちしています。
なお、当日は通常の営業はいたしません。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。
30年以上前からお付き合いをさせていただいている大分のCDショップ『タムボリン』さんから購入したCDが届きました。主にイングランドのトラッドですが、どれも素晴らしいので本サイトでご紹介させていただきます。左フレームの『Vinyl and so on』の〈arrival〉もしくはこちらからご覧ください。
なお、カフェトラモナではお薦めのレコード・CDを『Vinyl and so on』でご紹介していますが、新着は〈arrival〉で、過去の名盤は〈toramona's 99〉でご紹介しています。それぞれ〈arrival〉〈toramona's 99〉の文字列をクリックして、スクロールしながらご覧ください。