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Reg Meuross『Fire & Dust - A Woody Guthrie Story』Hatsongs Records, 14 March 2025
レグ・メウロスは80年代から活躍する英国のSSW。かつてスペシャル・デリヴァリーからリリースされたパニック・ブラザースなんて懐かしい方もいらっしゃるでしょう。前々作の『Songs of Love & Death』はデンヴォン州のフォーク・デュオ、Harbottle & Jonasと組んだトラッド集で、たいへん聴きやすくトラッド入門にお薦めの一枚。そして前作は英国の奴隷貿易を唄った問題作『Stolen From God』で、蛇腹奏者のコーエン・ブレイスウェイト・キルコインがアンジェリーン・モリスンの『ザ・ソロウ・ソングズ』同様気を吐いています。
で、本作は、あのピート・タウンゼントが提案し、プロデュースしたウディ・ガスリーの生涯を唄ったアルバム。ゲラント・ワトキンズやフィル・ビアなど錚々たるメンバーのほか、リズム・セクションにはロイ・ドッズとサイモン・エドワーズのフェアグランド・アトラクション組が配され、ピート自身もベースやキーボード、コーラスで3曲に参加しています。
全16曲中〈So Long It's Been Good To Know Ya〉〈Ain't Got No Home〉〈This Land Is Your Land〉〈Deportees〉の4曲はガスリーの作品で、〈A Folk Song's A Song〉ではディランが〈Song To Woody〉を唄った〈1913 Massacre〉のメロディーを使い、偉大な先達ふたりへのオマージュを唄っています。
また最後の〈The Gypsy Singer〉は病床のガスリーを見舞うディランの視点で唄われていますが、プロデューサーのピートが、ウディからディランを経てレグ・メウロスまで一直線につながると見なし、「最高のフォーク・ミュージック」と云う所以でしょう。
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この7月に85歳の誕生日を迎えるジム・クウェスキンの新作が届きました。
Jim Kweskin『Doing Things Right』Jalopy Records, 2025
ジム・クウェスキンの新作はブルックリンのJalopy RecordsからCDでリリース。プロデューサーのマシュー・バーリンとバーリン・ホール・サタデイ・ナイト・レヴューを結成し、古くは1921年のスタンダード曲〈Right or Wrong〉から新しくても1954年の〈Mardi Gras Mambo〉まで、全14曲を溌溂と唄っています。
ゲストはJalopyではお馴染みのシンガー、サモア・ウィルソン、ペダル・スティールのシンディ・キャッシュダラーなど。ブルース・シンガーのラッキー・トーマスと唄った〈Mardi Gras Mambo〉ではセカンド・ラインのニューオーリンズからさらに南へ、カリブ海まで誘ってくれます。
またナット・キング・コールで知られる〈Mona Lisa〉は先ごろ亡くなったマイケル・ハーレーも『Sweetkorn』(アナログ盤は遺作です)で唄っていた名スタンダード曲。ジムの歌声は同時代を生きたフォーク・シンガーの死を悼むように聴こえます。
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