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カフェトラモナ2月のおすすめです。
上左:Joe Pernice / Could It Be Magic(2020)
パーニス・ブラザースのフロントマン、ジョー・パーニスはコロナ禍の昨年、2枚の弾き語りアルバムをリリースしました。1枚はオリジナル集『Richard』、そしてもう1枚の本作はバリー・マニロウのヒット曲をカヴァーしたトリビュート・アルバムです。流石にマニロウ本人の作品はトラモナではコレクションの範疇外ですが、ガット・ギター一本で切々と弾き語られる〈哀しみのマンディ〉〈恋はマジック〉〈ニュー・イングランドの週末〉などゴージャスなヒット・メロディはまさに名演で、ティム・ハーディンの『The Homecoming Concert』を想わせます。かつてシナトラは「次に来るのはマニロウだ」と云ったとか。グレイト・アメリカン・ソングブック集に新たな名作が加わりました。
上右:Trimdon Grange Explosion / Trimdon Grange Explosion(2018)
Trimdon Grange Explosionは昨年15年ぶりにデビュー・アルバムがリイシューされ話題になったThe Eighteenth Day Of Mayの元メンバーによって結成された、ロンドンで活躍するエレクトリック・トラッド・バンド。2017年にCDRで限定発売された彼ら唯一のアルバムをCardinal Fuzzがアナログ化したものをやっと入手できました。バンド名をイングランドはダラム州トリムドン・グランジ の炭鉱爆発事故を唄ったバラッドから採るだけあって、ゲイリー&ヴェラ・アスペイが『A Taste of Hotpot』で取り上げたテッド・エドワーズの〈Weepin' and Wailin' Away〉など抜群に渋い選曲。しかし圧巻はマーダー・バラッド〈The Bonnie Banks of Fordie〉の10分半に及ぶパフォーマンス。まるでヴェルヴット・アンダーグラウンドが〈Matty Groves〉を演奏しているかのようです。
下左:Marry Waterson & Emily Barker / A Window to Other Ways(2019)
1977年12歳の時、叔母ノーマと母ラルの『A True Hearted Girl』で初レコーディングを経験し、以降ファミリーのアルバムにはちょくちょく顔を出していたマリー・ウォータスンは、2011年実弟のオリヴァー・ナイトと『The Days That Shaped Me』で本格的にデビュー。本作が5枚目になります。毎回オリヴァーやデイヴィッド・ジェイコック等と共同名義でアルバムをリリースしているマリーですが、今回はオーストラリア出身のSSW、エミリー・バーカーとのコラボ。出会いはキャスリン・ウィリアムスが運営するソングライティングのワークショップで、2人の相性は抜群。これまでのどの共演者よりもしっくり来るようです。プロデュースはやはり同ワークショップで知り合ったアデム・イルハン。ルーカス・ドリンクウォーターのダブル・ベースがいい仕事をし、ウォータスン家では最新のアルバムです。
下右:Lal & Mike Waterson / Bright Phoebus(1972, 2017)
ラル・ウォータスンの歌声を山櫨子に例えたのはイングランドはランカシャーでレコード店を営むイアン・サウスワースでした。棘を持っていて初めは取っ付き難いがやがて豊かな恵みをもたらすと云うのです。1972年の『Bright Phoebus』はそんなラルが兄のマイクとリリースした名盤の誉れ高いアルバム。R・トンプスン、A・ハッチングス、M・カーシーなど参加した面子だけでなく、ラルとマイクが書いた楽曲の素晴らしさは〈The Scarecrow〉〈Fine Horseman〉など数多くの名カヴァーを生んできました。本作は本編をDisc1に、Disc2に1971年のデモテープを初めて収録したリイシュー・アナログ盤。2002年のトリビュート盤『Shining Bright』でノーマ・ウォータスンが唄っていた〈Song for Thirza〉やステッチャー&ブリスリンの〈One of Those Days〉は当時未発表で、このデモに収められていたのでした。
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2月24日(水)は都合により午後1時(13:00)からの営業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますがご了承くださいますようお願いいたします。