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2022-05-31 18:49:00
カフェトラモナ6月のおすすめレコード

カフェトラモナ6月のおすすめです。

 

上左:Ye Vagabonds / Nine Waves(River Lea Records, 2022)

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リヴァー・リー・レコーズからの新譜はイェ・ヴァガボンズの3rdアルバム。前作のEP『I'm a Rover/The Bothy Lads』同様ジョン・マーフィーのプロデュースで、ダブリンのヘルファイア・スタジオで録られています。カーロウ出身でダブリンを拠点に活躍するディアメドとブライアンのマク・グローイン兄弟ですが、ドニゴールのアランモア島に母方のルーツを持ち、これまで島の伝説的シンガー、ローシャ・ナ・ナウラーンのレパートリーを数多く取り上げてきました。今回も終盤で彼女の〈Máire Bhán〉を唄っていますが、自作曲の〈Blue Is the Eye〉では生前のローシャを知る古老のアンドリュー・アーリーの死を悼み、島の伝統に敬意を表しています。クラッシュ・アンサンブルのケイト・エリスとカイミン・ギルモアも参加。チェロとダブル・ベースで不可思議なサウンドスケープを作り、トラディショナルな歌声を際立てています。

 

上右:Andy Irvine, Paul Brady / Andy Irvine, Paul Brady(Compass Records, 2022)

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後進に多大な影響を与えたアンディ・アーヴァインとポール・ブレディによる歴史的名盤のリイシューです。オリジナルはアンディとポールにドーナル・ラニーとケヴィン・バークが加わった4人で録音され、1976年の暮れにアイルランドのマリガンからリリースされました。今回コンパス・レコードによりオリジナル・アナログ・テープからリマスタリングされ、リイシューされています。ディランがこのアルバムに収録されているポールのヴァージョンで〈Arthur McBride〉をレコーディングしたのは有名な話ですが、イェ・ヴァガボンズのブライアンも母親の車にあったこのCDを聴いてアンディ・アーヴァインのファンになり、トラッドを唄うようになったとか。"パープル・アルバム"にちなんだ紫色のレコードです。

 

下左:Joni Mitchell / Blue Highlights(Rhino Records, 2022)

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昨年リリースされた『アーカイヴスVol.2:リプリーズ・イヤーズ』から名盤『ブルー』関連の音源を集めたコンピレーション。A面には〈A Case Of You〉〈California〉のデモやブルー・セッションからボツになった〈Hunter〉、ストリングス付きの〈Urge For Going〉、〈River〉のフレンチ・ホルン・ヴァージョンなどを、B面にはブートレッグで聴き馴染んだBBCのライブ音源から〈My Old Man〉〈Carey〉〈A Case Of You〉〈California〉を収録しています。いつ聴いてもジョニのマウンテン・ダルシマーとJTのギブソンJ-50のコンビネーションは最強ですね。この春レコード・ストア・デイ用のアイテムとしてリリースされ、マネージャーだったエリオット・ロバーツに捧げられています。

 

下右:Taj Mahal & Ry Cooder / Get On Board ‎– The Songs Of Sonny Terry & Brownie McGhee(Nonesuch, 2022)

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タジ・マハールとライ・クーダーが初めて出会ったのはロサンゼルスのアッシュ・グローヴ。1964年のことでタジが22歳、ライが17歳だったそうです。のちにライジング・サンズを結成しますが、最後の録音はタジの1stソロ作で1968年。なので54年ぶりの一緒のレコーディングです。タジとライのほかホアキム・クーダーの3人で録られた本作はアッシュ・グローヴ時代に憧れ、今でも敬愛するサニー・テリー&ブラウニー・マギーのトリビュート・アルバム。ハーモニカでバックアップするためタジがリードを唄うのは11曲中2曲のみ、殆どの曲でライがリード・ヴォーカルを取っています。タジのブルース・ピアノでライが唄う〈Deep Sea Diver〉やライのアコースティック・スライドが素晴らしい〈Pawn Shop Blues〉など聴きどころ満載の聴けば聴くほど素晴らしさが伝わる傑作です。タイトルとジャケットはサニー&ブラウニーが1952年にフォークウェイズからリリースした10インチへのオマージュ。また3人お揃いの白いハットはタジの1stへの表敬でしょうか。

 

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