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The Davenports『Strange Vagaries』Hallamshire Traditions, 16 August 2024
かつて新生アルビオン・バンドでブライアー・ダンロップをフォローし、大活躍したゲイヴィン・ダヴェンポートの新作です。妻のエイミー、父母のポールとリズのダヴェンポート一家でリリースした初めての作品で、ワイルダネス・イェットの『Westlin Winds』に続いて届いた、素晴らしい無伴奏コーラスのアルバムです。
昨今コーエン・ブレイスウェイト・キルコインやブライオニー・グリフィス&アリス・ジョーンズなど若いシンガーに採りあげられることの多い〈Hunton Sword Dance Calling-On〉で始まるアルバムは全12曲。8曲のトラッドのほか、ポールの自作曲2曲、ゲイヴィンとポールの共作曲1曲に加えてピーター・ベラミーのキプリング曲〈Recessional〉が唄われています。
かつてデイヴ&トニ・アーサーが唄った〈Padstow Drinking Song〉やシーラ・スチュワートお気に入りの訣別の〈Here's a Health to the Company〉などレアなトラッドが並びますが、〈Adieu My Lovely Nancy〉はワイルダネス・イェットと共通の選曲。しかしワイルダネス・イェットがお手本にしたのはナンシー・カーのオーストラリア・ヴァージョンで、ダヴェンポーツが唄うのはR・A・ガッティが1907年にブラッドフィールドで採譜したヴァージョン。ガッティは大学時代の友人レイフ・ヴォーン・ウィリアムズに励まされたとか。何れにしても渋い選択です。
この他にエイミー&ゲイヴィン・ダヴェンポートの最新作『A Boat of Promises』(2019)やポール&リズ・ダヴェンポートの初期作『Under the Leaves』(2006)と『Spring Tide Rising』(2011)もコレクションできました。特に『A Boat of Promises』ではスタン・ロジャースの〈The Jeannie C〉も唄われています。こちらも併せてお聴きください。
ご来店の際にリクエストしてください。
My Darling Clementine, Steve Nieve『カントリー・ダークネス -エルヴィス・コステロを歌う-』CA VA? RECORDS/HAYABUSA LANDINGS, 2024
先日ご来店いただいた麻田浩さんのトムズキャビンが招聘するマイ・ダーリン・クレメンタインの来日記念盤『カントリー・ダークネス -エルヴィス・コステロを歌う-』が届きました。マイ・ダーリン・クレメンタインは90年代からオルタナ・カントリー・ロック・バンドThe Good Sonsのフロントマンとして、またソロアーティストとしても数々の名盤をリリースし活躍するSSWのマイケル・ウェストン・キングが奥様のルー・ダルグリーシュとイングランドはバーミンガムで結成したデュオ。本作は2019年秋から2020年夏にかけてリリースされた3枚の4曲入りEPアナログ盤を1枚のCDに纏めたコステロ曲のカヴァー集です。トラモナでコステロと云えばこのアルバムを指す時期もあったほど。ボーナストラックや訳詞、解説のついた充実の来日記念盤をお楽しみください。
またタウンズ・ヴァン・ザントが参加し、渋い歌声を聴かせるグッド・サンズの1st『Singing The Glory Down』(スタイリスティックスの〈You Are Everything〉もカヴァー‼)などを始め、名盤の誉れ高いソロ第1作『God Shaped Hole』やザントの死を悼んだ自作曲とザント曲のメドレーが素晴らしい『Live... In Dinky Town』、ジェブ・ロイ・ニコルズも参加した2022年のソロ最新作『The Struggle』などもございます。これを機会に優れたSSWマイケル・ウェストン・キングのすべてを聴き直し、是非来日公演に臨んでは如何でしょう。
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