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7月7日(水)は都合により16時30分までの営業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承いただきますようよろしくお願いいたします。
カフェトラモナ6月のおすすめです。
上左:Jeb Loy Nichols / Jeb Loy(Timmion Records, 2021)
97年のソロ・デビュー作『Lovers Knot』はウッドストック産の名盤でしたが、早くも4半世紀弱。ジェブ・ロイ・ニコルズの13枚目、イアン・ゴムとの共演盤を入れると14枚目の新作です。今回はカールトン・ジュメル・スミスやボビー・オローサなどで注目されるフィンランドのソウル・レーベル、ティミオン・レコーズからのリリース。もちろんバックはティミオンのハウス・バンド、コールド・ダイアモンド&ミンクが担当。セッポ・サルミの歌心溢れるギター・ワークやユッカ・エスコラの瀟洒なブラス・アレンジをバックに、齢を重ね渋みを増したジェブ・ロイのソウルフルな歌声が感動的です。かつてダン・ペンやトニー・ジョー・ホワイトらのカントリー・ソウル・レヴューをお膳立てしたジェブ・ロイらしいCountry Got Soulなアルバムです。
上右:Bonnie "Prince" Billy, Nathan Salsburg, Max Porter / Three Feral Pieces(No Quarter, 2021)
コロナ禍の2020年、英国の若手作家マックス・ポーターがシャーリー・コリンズやジョーン・シェリーとの共演で知られるケンタッキー州ルイヴィルのギタリスト、ネイサン・サルスバーグにテキストのスクラップを送ったのが始まりです。ネイサンは隣人のボニー・プリンス・ビリーに声をかけ、共同で詩の断片を〈Orbit Song〉〈Unlearning Chant〉〈Here Song〉の3曲に仕上げました。それらは12インチのアナログ盤の片面に収録され、裏面にはルイヴィルのオスカー・パーソンズによるエッチングが施されています。ボニー・プリンスが唄い、ネイサンがギターを弾いた本作にはジョーン・シェリーもウーリッツァーで参加。アコースティックながらもサイケデリックな一枚です。
下左:Rhiannon Giddens with Francesco Turrisi / They're Calling Me Home(Nonesuch Records, 2021)
カラー・インサートの仲睦まじいツーショットが『No Roses』のシャーリーとアシュリーを想い起すリアノン・ギデンスとフランチェスコ・トゥリッシのコラボ第2作。2020年秋、ダブリン郊外の農場にあるヘルファイアー・スタジオで、今回は2人に加えコンゴのギタリストNiwel Tsumbuとアイリッシュ・フルート、イーリアン・パイプスのEmer Mayockも参加して1週間で録られています。キャロライナ・チョコレート・ドロップス時代に師匠のジョー・トンプソンと録音したことのある〈I Shall Not Be Moved〉の再演やトゥリッシのフレイム・ドラムだけで唄われる〈O Death〉など聴きどころ満載ですが、私なぞはジャッキー・マクシーの歌唱で知った〈When I Was in My Prime〉が甚く沁みわたります。
下右:Muckram Wakes / Warbles, Jangles and Reeds(Highway Records, 1980)
先のモッシー・クリスチャンの1stに於けるジョン・アダムスの貢献には目を見張るものがありました。そのジョンのいたマックラム・ウェイクスの3rdアルバムです。ロジャーとヘレンのワトソン夫妻、ジョンとスージーのアダムス夫妻の2組の夫妻によるバンドで、一時はアルビオン・バンドのジョン・タムスが在籍していたり、ピート&クリス・コーらに合流してニュー・ヴィクトリー・バンドとして活動していたこともありましたが、これは夫妻2組による作品。達者な男性陣がフィドルやメロディオンだけでなくブラスも熟し、シェフィールドのフランク・ヒンクリフを手本にしたバラッドをアカペラで唄ったかと思えば、ミュージック・ホールの唄やカントリー・ダンス・ミュージックも聴かせます。極めつけは〈鉱夫の祈り〉の原曲〈Miner's Prayer〉やライ・クーダーも取り上げた〈Coming in on a Wing and a Prayer〉などのアメリカン・マテリアルでしょうか。
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トラモナ入口のカウンター席の上に飾ってあるジェブ・ロイ・ニコルズの版画は、2011年に限定リリースされた『The Jeb Loy Nichols Special』のアナログ盤ジャケットに使われたものですが、やっとそのアナログ盤をコレクションすることができました。
ジャケット中央にサン・ラを挟んでジョン・コルトレーンとニーナ・シモンがいます。その上には既に版を壊してしまったと云うサンディ・デニーも見えます。裏には今回初めて確認できたニック・ドレイクの姿もありました。
CDには通常盤とボーナス・ディスクとしてスタックスのコンピが付いた2枚組がありますが、ウッド・ベースの音がぐっと膨らんで聴こえるアナログ盤もお楽しみください。
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リヴィング・トラディション誌第137号の表紙を飾ったモッシー・クリスチャンのワン・ロウ・レコーズから頼んでおいたCDが届きました。
モッシー・クリスチャンは、ピート・コーやブライアン・ピーターズが注目するリンカンシャー州出身の若手ミュージシャン。フィドルだけでなくメロディオンやコンサティーナも能くし、ピーター・ベラミーやマイク・ウォータースンに影響された歌唱にも定評があります。
ワン・ロウ・レコーズはそのモッシーが運営するレーベルで、独自のリリースCDこそまだ2枚だけですが、今後は引退してしまったロッド・ストラドリングがかつて創設したミュージカル・トラディションズやヴェテラン・テープスに残された貴重なソース・レコーディングもリリースしていくという頼もしいレーベルです。
今回届いたのは、2019年の記念すべきレーベル第1作であるジム・エルドンとモッシー・クリスチャンの共演作『Fiddle Duets』と、昨年末にリリースされたレーベル第2作でモッシーのソロ・デビュー作『Come Nobles and Heroes』の2枚。どちらも70年代後半にリリースされたフリー・リードの諸作を想わせる超ド級のイングリッシュ・トラッドです。なお、共演者のジム・エルドンはタフティ・スウィフトの2nd『You'll Never Die For Love』に参加し、BBCのアンディ・カーショウがコンパイルした『More Great Moments of Vinyl History』にスプリングスティーンをフィドルで弾き語った〈Dancing in the Dark〉が収録されたという大層なシンガー/フィドラーです。
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