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カフェトラモナ3月のおすすめです。
上左:The Hackles / The Twilight's Calling It Quits(Jealous Butcher Records, 2018)
マイケル・ハーレーの久々のスタジオ・アルバム『The Time of the Foxgloves』に貢献したカティ・クラボーンとルーク・イドスティのザ・ハックルズはオレゴン州アストリアの夫婦デュオ。ブラインド・パイロットやアリアルーヤ・クワイアでは裏方に徹していた彼らが自身のペンによる楽曲を自ら唄った1stです。バンジョーのカティとギターのルークが双方向マイクを挟み向かい合って唄うという彼らのライヴ・セットアップを忠実に録音するために、スタジオ(タイプ・ファウンドリー)だけでなくアストリアの夫妻の向かいに住むエンジニアのアダム・セルツァーのリヴィング・ルームに機材を持ち出し試行錯誤を繰り返したそうです。北米のトラディショナル・ミュージックに根差しながらも適度に同時代的で睦まやかな夫妻の歌声はフォーク・ミュージックのあるべき姿の一つと云って良いでしょう。名盤です。
上右:The Hackles / A Dobritch Did As A Dobritch Should(Jealous Butcher Records, 2019)
ザ・ハックルズの2nd。アストリアにもやっと本格的なレコーディング・スタジオができ、今回の録音はそのロープ・ルームとお馴染みのタイプ・ファウンドリーの2か所のスタジオで行われ、幾分タイトな仕上がりになったようです。アルバム・タイトルはブルガリアの有名なサーカス一家に生まれ、大戦を逃れた北米で興行主として名を揚げたアル・ドブリッチの人生を謳った〈The Show Goes On〉の一節から取ったもの。カティとルークにホースネックスのガブリエル・マックレーが加わり、穏やかながらも凛とした歌声を聴かせます。他にブラインド・パイロットのライアン・ドブロフスキーやリバー・ホワイレスのハリ・アンダーソンも参加。ハックルズは2作続けて傑作をものしました。
下左:Adam Selzer / Slow Decay(Jealous Butcher Records, 2020)
アリアルーヤ・クワイアの2nd『Big Picture Show』をリリースしたアダム・セルツァーはその後スタジオ内で裏方に精を出していたようで、今月のおすすめ4枚すべてがセルツァー関連の作品になりました。満を持してのソロ・アルバムはノーフォーク&ウェスタン時代の『All The Walls Are Bare』に続く2nd。デモ作のようだった前作に比べ今回はアリア・ファーラーやベン・ニュージェント、カイリーン・キングなど仲間たちに囲まれ、確りとプロダクションされたフォーク・ロックを聴かせてくれます。特にアリア・ファーラーがピアノやコーラスで参加した曲ではアリアルーヤ・クワイアを髣髴させる一面も。110枚プレスの11番です。
下右:Various Artists / Days Full of Rain: A Portland Tribute to Townes Van Zandt(Jealous Butcher Records, 2016)
副題のとおりポートランドのミュージシャンによるタウンズ・ヴァン・ザントのトリビュート・アルバム。ジョリー・ホランド、ブラインド・パイロット、マイナス5など21組がタイプ・ファウンドリーに集まり、13組がアナログ盤に収録され、残りの8組はデジタル音源のDLで聴けるようになっています。極めつけはDL組のマイケル・ハーレー。2004年の『Down in Dublin』でも唄った〈Pancho and Lefty〉をホーリー・モーダル・ラウンダーズのデイヴ・レイシュとフリーク・マウンテン・ランブラーズのルイ・ロングマイアを伴い再演しています。またカティ・クラボーンがハックルズ以前にエリック・クランピットと結成していたフック&アンカーは〈If I Needed You〉をカティとルーク・イドスティのヴォーカルで取り上げ、ザ・ハックルズの萌芽を覗かせます。
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