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カフェトラモナ4月のおすすめです。
上左:Danny Barnes / Man On Fire(2020)
元バッド・リヴァーズのメンバーでスティーヴ・マーチンのバンジョー・プライズを受賞したことのあるダニー・バーンズはバンジョーの名手。前作の『Stove Up』はキャリア初の純ブルーグラス・アルバムでしたが、今回はエクスペリメンタルな面は抑えられているもののいつものダニー・バーンズが戻ってきました。例えば〈Awful Strange〉や〈Zundapp〉のようにディランと一緒に来るはずだったマット・チェンバレンのドラムスにツェッペリンのジョン・ポール・ジョーンズのベースがうねるように絡みつくファンキーなリズム・セクションとバンジョーとのコンビネーションはバーンズならではのもの。もちろん土臭くアコースティックな〈Coal Mine〉や〈Ballad Of Nope〉なども聴きどころの1つでその〈Coal Mine〉ではジョンジーのマンドリンも聴くことができます。
上右:Kelly Finnigan / The Tales People Tell(2019)
ベイエリアで活躍するサイケデリック・ソウル・バンド、モノフォニックスのキーボード兼リード・シンガー、ケリー・フィニガンのソロ・デビュー作。トラモナでのコレクションの所以は、父親が70年代にジェリー・ウェクスラーのプロデュースでスワンプの名作をものしたマイク・フィニガンという出自とその血を受け継いだすこぶる黒っぽい歌声に他なりません。ケリーの歌声を初めて聴いた時すぐさまエディー・ヒントンの『Very Extremely Dangerous』を想いうかべました。ソウルフルかつメロウな歌声と演奏はまるで60年代終わり~70年代初めのソウル・アルバム。ジャケットの片隅がカットアウトでもされていれば100点満点です。
下左:Jack Rutter / Hills(2017)
英国の若手トラッド・バンドMoore Moss Rutterのギタリスト兼シンガー、ジャック・ラターの1stソロ(既に2ndもリリース済み)。ウェストヨークシャー出身のジャックらしく本作ではフランク・キッドスン、ウォータースンズ、フランク・ヒンクリフなどのヨークシャーゆかりの楽曲を数多く取り上げていますが、なかでもサウスヨークシャー出身のデイヴ・バーランドがデビュー作で唄いアルバム・タイトルにもした〈The Dalesman's Litany〉が真っ先に目を引くところでしょう。全曲ギター、ブズーキ若しくはコンサーティーナの弾き語り。一つの歌声に一つの楽器、ダビング無しの全くのスタジオ一発録りは元ベロウヘッドのジョン・ボーデンが云うように70年代のフォーク・クラシックスを髣髴させる名盤です。
下右:Randy Newman / The Randy Newman Song Book(2016)
2月のライブで細井さんが聴かせてくれたランディ・ニューマンの〈Simon Smith And The Amazing Dancing Bear〉と〈Short People〉のピアノ弾き語りはいたく感動的でした。ランディ・ニューマンの弾き語りと云えばかつて『Live』という名作がありましたが、ランディは今世紀に入り自身のキャリアを振り返るかのように自作曲のピアノ弾き語りアルバムを3枚リリースしました。本作は『Vol.3』がリリースされたタイミングでこれまでCDと配信でしかリリースされていなかったCD3枚分にボーナス・トラックを加え、曲順を入れ替えアナログ化したもの。LP4枚組はもちろん質も量もともに名作『Live』を超えたコンプリート弾き語り集です。それはそうと『Hosoi Sings Newman』なんてLive出来ないかなぁ。
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