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2022-08-31 16:50:00
カフェトラモナ9月のおすすめレコード

カフェトラモナ9月のおすすめです。

 

上左:Nora Brown / Long Time To Be Gone(Jalopy Records, 2022)

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ノラ・ブラウンの3rdアルバム。かつてティム・バックリィやサンディ・デニーの歴史的トリビュート・コンサートが開催され、最近ではブルックリン・フォーク・フェスティヴァルで有名なセント・アン教会で録音された本作は、ノラのお気に入りのソロ・バンジョー・チューンをまとめたもの。多くはインストで、うたものはA、B面に2曲ずつ収められています。いつも使っているギブソンのスネイク・ヘッド・バンジョーを始め、計4本のバンジョーを使い分けていますが、極め付けはロスコー・ホルコムがお気に入りだったジョン・コーエン所有のバンジョーで弾き語れる〈Rye Whiskey 〉と〈Little Birdie〉のメドレー。16歳の少女のものとは思えぬ落ち着いた歌声に圧倒されます。この夏ニューポート・フォーク・フェスティヴァルで共演した黒人バンジョー奏者ジェイク・ブロウントは「ノラ・ブラウンをまだ聴いていないなら人生を無駄にしている」とツィートしています。

 

上右:Burd Ellen / Says The Never Beyond(Self-released, 2020)

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ニック・ハートの新作にピーター・ベラミーと並んでクレジットされていたバード・エレンは、デビー・アーマーとゲイル・ブローガンのグラスゴーで活躍するフォーク・ユニット。デビーが唄い、ゲイルがコーラスやヴァイオリン、シンセサイザーなどでデビーの凛としたトラッド・シンギングをバックアップします。ニックも唄った〈Sweet Lemany〉収録の1st『Silver Came』は既にフィジカルCDはソールドアウト。データ配信で我慢し、こちらはアナログ盤が入手できた2ndです。20年11月にリリースされ、これから迎える英国の冬の民間信仰や伝統行事に関する唄やキャロルを集めたコレクション。スティーライやウォータソンズで有名な〈Please to See the King〉で幕を開け、レイチェル・ニュートンもハープで参加した本作は、ガーディアン紙の同年ベスト・フォーク・アルバム第6位に選ばれています。

 

下左:Leon Redbone / Mystery Man(Reel Music, 2022)

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オリジナルのリリースは1982年のアコード盤。4作目『From Branch To Branch』に続く初のライヴ音源でしたが、プレス枚数が少なく、レッドボーンのディスコグラフィの中でもレアなアイテムになっていました。が、昨年Good Time RecordsからCD-Rでリリースされていたものが今年になってReel Musicでアナログ化。40年ぶりのリイシューです。2、3作目から〈Nobody's Sweetheart〉〈Sheik Of Araby〉〈T.B. Blues〉などのほか、ブラインド・ボーイ・フラーやビッグ・ビル・ブルーンジーを弾き語っていますが、その卓越したギター・テクニックは秀逸。再認識した次第です。

 

下右:K.C. Jones / Queen Of The In Between(Self-released, 2021)

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プロデューサーのジョエル・サヴォイはケイジャン音楽の名門マークとアンのサヴォイ家の出身で、フィドルやギターの名手。自ら創設したヴァルクール・レコード、リリースの『I Wanna Sing Right』はロマックス親子の収集した楽曲のカヴァー集で、ルイジアナ音楽の過去と現在を繋げる傑作でした。主人公のK・C・ジョーンズことケリィ・ジョーンズはジョエルの公私にわたるパートナーで、先の『I Wanna ~』でも共演。フィドルも能くし、二人がケイジャン・フィドル2本でペトラ・クラークをカヴァーした7インチ『Toi, Tu Joues À L'Amour』は必聴です。で本作ですが、ケイジャン・フィドルは封印し、コケティッシュな歌声を全面的にフィーチャーしたケリィ初のソロ・アルバム。ケリー・ホーガンの傑作『I Like to Keep Myself in Pain』を想わせます。

 

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