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7月13日(日)及び 7月14日(月)は都合により14時00分からの営業とさせていただきます。
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5月21日に84歳になった御大マーティン・カーシーの久々の新作が届きました。
Martin Carthy『Transform Me Then Into a Fish』Hem Hem Records, 21 May 2025
84歳の誕生日を迎えたマーティン・カーシーの新作です。1965年の1stアルバムのリリースから60年。長きにわたる音楽キャリアを振り返り、1stから〈The Trees They Do Grow High〉〈Ye Mariners All〉〈Lovely Joan〉〈The Handsome Cabin Boy〉〈A-Begging I Will Go〉〈High Germany〉〈Scarborough Fair〉〈Spring Hill Mine Disaster〉の8曲を取り上げ、唄い直しています。
ただ〈Scarborough Fair〉はポール・サイモンに教えた1stのヴァージョンではなく、2018年ノーマ・ウォータソン&イライザ・カーシーの『Anchor』でレコーディングされた新ヴァージョン。マーティンにとって旧ヴァージョンは重荷になっていたのかイマジンド・ヴィレッジのアルバムでも自身では唄わず、代わりにクリス・ウッドが唄っていました。この新ヴァージョンとの出会いは嬉しかったようで、『Anchor』に続き昨年のレズ・カズンズのトリビュート・コンサートでも唄い、その時の様子はカセット盤『A Tribute to Les Cousins』にも収録されています。今回のレコーディングで3度目、やっと新ヴァージョンが自身のアルバムにも収められました。
1stに収められていなかった〈Dream Of Napoleon〉はノーフォーク出身のサム・ラーナーのレパートリーから。サムはマーティンが初めて聴いたトラディショナル・シンガーで、マーティンが17歳で、サムが80歳の時、サムの音楽性と情熱に圧倒されたとのこと。トピック・レコードの80周年記念盤『Vision & Revision』でも唄われていましたが、マーティン名義のアルバムには初めての収録になりました。
続くワーテルローの戦いで命を落とした多くの人々を悼む〈Eighteenth of June〉はロッド・ストラドリングの歌唱で有名なトラッドですが、ロッド曰くマーティンに多く負っているとのこと。しかしマーティンは改編に改編を重ね作り上げたのはマイク・ウォータソンだと云います。残念ながらマイクの音源は見つけられませんでしたが、ウォータソンズのアンソロジー『Mighty River of Song』にはノーマが唄ったものが〈Poor Boney〉のタイトルで収録されています。今回初めて自身のアルバムに収められたマーティンのヴァージョンとロッドやノーマの歌唱と聴き比べるのも一興です。
〈The Famous Flower of Serving Men〉の初出は1972年の『Shearwater』。この9分を超えるマーダー・バラッドにマーティンは殊のほか思い入れが深く、その後2004年の『Waiting for Angels』でも唄い直し、ライヴ盤の『The Kershaw Sessions』や『Ruskin Mill』にもライヴ音源を収録しています。トラッド・シンガー、マーティン・カーシーのレパートリーから代表曲を一曲だけ選ぶとすると、この曲を挙げるファンも少なくないはず。今回これをスポークン・ワードの作品として収録したのは新たな展開? 興味深いことです。
全11曲、最後の〈Spring Hill Mine Disaster〉のみイワン・マコールとペギー・シーガーの作品で、他はトラッド曲。イライザ・カーシーとイマジンド・ヴィレッジのシタール奏者シーマ・ムケルジーが3曲ずつ参加し、84歳になったマーティンは先のサム・ラーナーやハリー・コックスの域に達したようです。タイトルのTransform Me Then Into A Fishは〈Ye Mariners All〉の1節から。ジャケットはかつてハルの自宅で撮ったノーマとの朝食の写真を想起させ、ノーマの空席が悲しみを誘いますが、ジャケット内側にはギターを抱えパレットで荒波を乗りこなすマーティンも。ライナーはフォーク・シンガーのジョン・ウィルクス。大役を務めています。
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長い間待っていたスコットランドの女性ギタリスト、ジェン・バターワースの新作が届きました。
Jenn Butterworth『Her by Design』One in Ten Records, 28 February 2025
スコットランドの女性ギタリスト、ジェン・バターワースの新作がやっと届きました。イングランドのハーモニカ、メロディオン奏者ウィル・パウンドとの共演盤『Volume 1』では、アグレッシヴなギターワークで気を吐いていたジェンですが、初めてのソロ作はヴォーカル・アルバム。ドラムやベース、ストリングスまで配したフォーク・ロック・バンドをバックに、凛とした歌声が冴えわたります。
全8曲中トラッドは4曲。アパラチアン・トラッド〈Fair and Tender Ladies〉の別ヴァージョン〈Little Sparrow〉やスコットランドの大先輩アーチー・フィッシャーの名唱が忘れられない〈Her Bright Smile Haunts Me Still〉など。とりわけ〈Jeannie〉はニック・ジョーンズが唄った〈Annachie Gordon〉の異名同曲で、この唄の名唱リストにジェンの名が刻まれるのは云うまでもありません。
自作曲はトラッド〈Susan Brown〉にインスパイアされた〈A Toast〉など2曲ですが、極めつけはサンディ・デニーとロビン・ドランスフィールドのカヴァー曲。サンディの〈All Our Days〉は『Rendezvous』に収録されていたハリー・ロビンソン編曲のオーケストラをバックに唄った7分を超える大作でしたが、ジェンはストリングス付きのバンドで軽快に唄い、この楽曲をより身近な存在にしてくれました。ロビンの〈Fair Maids of February〉は2、3月の極寒に開花するスノードロップを唄ったロビンとバリーの共作曲で、1980年のトピック盤『Tidewave』に収められていました。清々しいジェンの歌声を聴いていると久々にロビンとバリー兄弟の一連のアルバムに耳を傾けてみたくなりました。
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英国ヨークシャー出身のSSW、クリス・ブレイン が10月に来日し、カフェトラモナでも唄ってくれることになりました。
すでに『Bound to Rise』『Steady Away』『New Light』と素晴らしい3枚のアルバムをリリースし、その内省的な歌声で〈現代のニック・ドレイク〉とまで云われるクリス・ブレイン。自作曲中心のアルバムにロバート・バーンズ作〈Now Westlin Winds〉を唄い収録したり、マイケル・チャップマンのヨークシャー・トリビュートに参加するなど、若いながらも60、70年代のブリティッシュ・フォークへのリスペクトがひしひしと伝わります。
どんなライヴになるのでしょう。期待大です。お早めにご予約ください。よろしくお願いいたします。
2025年10月4日(土)
あきる野 カフェトラモナ
open 16:00 start 17:00
¥4000 + ドリンクオーダー
定員に達しましたのでご予約を終了させていただきます。ありがとうございました。
トムスキャビンさんのサイト もご覧ください。