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英国ヨークシャー出身のSSW、クリス・ブレイン が10月に来日し、カフェトラモナでも唄ってくれることになりました。
すでに『Bound to Rise』『Steady Away』『New Light』と素晴らしい3枚のアルバムをリリースし、その内省的な歌声で〈現代のニック・ドレイク〉とまで云われるクリス・ブレイン。自作曲中心のアルバムにロバート・バーンズ作〈Now Westlin Winds〉を唄い収録したり、マイケル・チャップマンのヨークシャー・トリビュートに参加するなど、若いながらも60、70年代のブリティッシュ・フォークへのリスペクトがひしひしと伝わります。
どんなライヴになるのでしょう。期待大です。お早めにご予約ください。よろしくお願いいたします。
2025年10月4日(土)
あきる野 カフェトラモナ
open 16:00 start 17:00
¥4000 + ドリンクオーダー
定員に達しましたのでご予約を終了させていただきます。ありがとうございました。
トムスキャビンさんのサイト もご覧ください。
英国のフォーク・シンガー、リサ・ナップの新作が届きました。前作はマリー・ウォーターソンとナサニエル・マンと3人で組んだハックポエッツ・ギルドの『Blackletter Garland』でしたが、今回は夫君ジェリー・ダイヴァーとの共同アルバム『Hinterland』が届きました。どうぞお楽しみください。
Lisa Knapp & Gerry Diver『Hinterland』Ear to the Ground Music, 6 March 2025
リサ・ナップの新作はこれまでプロデュースやマルチ奏者としてリサの音楽を裏方で支えてきた夫君のジェリー・ダイヴァーとの共同名義でリリースされたアルバムです。2曲のフィドルのインストを含む全9曲。唄ものでは〈Train Song〉と〈Star Carr〉の2曲がオリジナルで、5曲がトラッド。全てリサが唄い、二人のほかはベロウヘッドのピート・フラッドがドラムとパーカッションで4曲に参加しているのみです。
ピーター・ケネディが蒐集したリアム・オコナーの歌唱をお手本にしたアイリッシュ〈Hawk & Crow〉で始まるA面は2曲の自作曲を挟み、ナイト・ヴィジティング・ソング〈I Must Away Love〉、ジェリーのフィドル・チューン〈Monaghan Jig / Monks Jig Set〉と続きますが、圧巻はB面。
先ずはマーティン・カーシーやスティーライでお馴染みの〈Long Lankin〉です。ベロウヘッドのピート・フラッドによるジャージーなドラムを従えたリサの歌声は頗るスリリング。この陰惨なマーダー・バラッドの作品群に新たな名唱をつけ加えています。リサのフィドル・チューン〈Penumbra〉に続く〈Loving Hannah〉は数年前マーガレット・バリーの生涯を描いた舞台でリサがメアリー・マクパートランと唄ったマーガレットのレパートリー。2020年に亡くなったメアリーの死を悼み収録されたようです。
最後の〈Lass of Aughrim〉はジョイスの短編を映画化したジョン・ヒューストン監督の遺作『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』にも登場するアイリッシュ。シャーリー・コリンズの〈Lord Gregory〉やアイラ・セント・クレアの〈Annie of Lochroyan〉など素晴らしいヴァージョンが数多く残るなか、リサは映画で唄われたアイルランドのテナー歌手、フランク・パターソンのクラシカルな歌声に多くを負っているようです。夫君のピアノとフィドルをバックに切々と唄うリサ、素晴らしいの一言です。
ご来店の際にリクエストしてください。
Reg Meuross『Fire & Dust - A Woody Guthrie Story』Hatsongs Records, 14 March 2025
レグ・メウロスは80年代から活躍する英国のSSW。かつてスペシャル・デリヴァリーからリリースされたパニック・ブラザースなんて懐かしい方もいらっしゃるでしょう。前々作の『Songs of Love & Death』はデンヴォン州のフォーク・デュオ、Harbottle & Jonasと組んだトラッド集で、たいへん聴きやすくトラッド入門にお薦めの一枚。そして前作は英国の奴隷貿易を唄った問題作『Stolen From God』で、蛇腹奏者のコーエン・ブレイスウェイト・キルコインがアンジェリーン・モリスンの『ザ・ソロウ・ソングズ』同様気を吐いています。
で、本作は、あのピート・タウンゼントが提案し、プロデュースしたウディ・ガスリーの生涯を唄ったアルバム。ゲラント・ワトキンズやフィル・ビアなど錚々たるメンバーのほか、リズム・セクションにはロイ・ドッズとサイモン・エドワーズのフェアグランド・アトラクション組が配され、ピート自身もベースやキーボード、コーラスで3曲に参加しています。
全16曲中〈So Long It's Been Good To Know Ya〉〈Ain't Got No Home〉〈This Land Is Your Land〉〈Deportees〉の4曲はガスリーの作品で、〈A Folk Song's A Song〉ではディランが〈Song To Woody〉を唄った〈1913 Massacre〉のメロディーを使い、偉大な先達ふたりへのオマージュを唄っています。
また最後の〈The Gypsy Singer〉は病床のガスリーを見舞うディランの視点で唄われていますが、プロデューサーのピートが、ウディからディランを経てレグ・メウロスまで一直線につながると見なし、「最高のフォーク・ミュージック」と云う所以でしょう。
ご来店の際にリクエストしてください。
この7月に85歳の誕生日を迎えるジム・クウェスキンの新作が届きました。
Jim Kweskin『Doing Things Right』Jalopy Records, 2025
ジム・クウェスキンの新作はブルックリンのJalopy RecordsからCDでリリース。プロデューサーのマシュー・バーリンとバーリン・ホール・サタデイ・ナイト・レヴューを結成し、古くは1921年のスタンダード曲〈Right or Wrong〉から新しくても1954年の〈Mardi Gras Mambo〉まで、全14曲を溌溂と唄っています。
ゲストはJalopyではお馴染みのシンガー、サモア・ウィルソン、ペダル・スティールのシンディ・キャッシュダラーなど。ブルース・シンガーのラッキー・トーマスと唄った〈Mardi Gras Mambo〉ではセカンド・ラインのニューオーリンズからさらに南へ、カリブ海まで誘ってくれます。
またナット・キング・コールで知られる〈Mona Lisa〉は先ごろ亡くなったマイケル・ハーレーも『Sweetkorn』(アナログ盤は遺作です)で唄っていた名スタンダード曲。ジムの歌声は同時代を生きたフォーク・シンガーの死を悼むように聴こえます。
ご来店の際にリクエストしてください。
先日ご来店のCDショップ タムボリンの船津さんに持ってきていただいたエリック・アンダースンの新作『Blue River Live in Toyko』がすこぶる素晴らしい。2012年にビルボード東京で行われた名盤『Blue River』の発売40周年を記念したライヴを収録したアルバムで、『Blue River』全曲が唄われています。この2月イタリアのNew Shot Recordsからリリースされました。ライナー曰く傑作は決して古くならないとのこと。エリックの変わらぬ歌声、しびれます。
また一緒に持ってきてくれたリズ・オーヴァーズの『Nightjar』も素晴らしく、このところトラモナのターンテーブルを賑わせています。リズはサセックスのフォーク・シンガーで、初めてのソロ・アルバム。ニール・マッコールとデヴィッド・トムリンズの2本のアコースティック・ギターとベン・ニコルズのウッド・ベースの醸すアンサンブルが少しペンタングルを想わせご機嫌です。全12曲中4曲がトラッドで、特に〈Bad Girl〉は米国はテキサス・グラッデンの〈One Morning In May〉をお手本にした楽曲。水銀の毒性作用で死にゆく少女をオートハープを使って切々と唄っています。
Eric Andersen『Blue River Live In Tokyo』New Shot Records, 2025
Liz Overs『Nightjar』own label, 2024
詳しくは タムボリン さんをご覧ください。
もちろんご来店の際にリクエストしてください。