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長い間待っていたスコットランドの女性ギタリスト、ジェン・バターワースの新作が届きました。
Jenn Butterworth『Her by Design』One in Ten Records, 28 February 2025
スコットランドの女性ギタリスト、ジェン・バターワースの新作がやっと届きました。イングランドのハーモニカ、メロディオン奏者ウィル・パウンドとの共演盤『Volume 1』では、アグレッシヴなギターワークで気を吐いていたジェンですが、初めてのソロ作はヴォーカル・アルバム。ドラムやベース、ストリングスまで配したフォーク・ロック・バンドをバックに、凛とした歌声が冴えわたります。
全8曲中トラッドは4曲。アパラチアン・トラッド〈Fair and Tender Ladies〉の別ヴァージョン〈Little Sparrow〉やスコットランドの大先輩アーチー・フィッシャーの名唱が忘れられない〈Her Bright Smile Haunts Me Still〉など。とりわけ〈Jeannie〉はニック・ジョーンズが唄った〈Annachie Gordon〉の異名同曲で、この唄の名唱リストにジェンの名が刻まれるのは云うまでもありません。
自作曲はトラッド〈Susan Brown〉にインスパイアされた〈A Toast〉など2曲ですが、極めつけはサンディ・デニーとロビン・ドランスフィールドのカヴァー曲。サンディの〈All Our Days〉は『Rendezvous』に収録されていたハリー・ロビンソン編曲のオーケストラをバックに唄った7分を超える大作でしたが、ジェンはストリングス付きのバンドで軽快に唄い、この楽曲をより身近な存在にしてくれました。ロビンの〈Fair Maids of February〉は2、3月の極寒に開花するスノードロップを唄ったロビンとバリーの共作曲で、1980年のトピック盤『Tidewave』に収められていました。清々しいジェンの歌声を聴いていると久々にロビンとバリー兄弟の一連のアルバムに耳を傾けてみたくなりました。
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