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2021-10-30 16:09:00
カフェトラモナ11月のおすすめレコード

カフェトラモナ11月のおすすめです。

 

上左:John Francis Flynn / I Would Not Live Always(River Lea Recordings, 2021)

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ダブリンを拠点に活躍するスキッパーズ・アレイのシンガー兼フルート奏者、ジョン・フランシス・フリンのソロ・デビュー作はラフ・トレード傘下のリヴァー・リーからのお目見え。昨今のランカムやレーベル・メイトのライザ・オニール、イー・ヴァガボンズに続くアイリッシュ・シンギングの新たな息吹を感じます。意外にもシャーリー・コリンズやイーワン・マッコールの曲が並びますがジョンに多大な影響を与えた音楽的ヒーローとか。ナポレオン戦争時代のアンチ・ウォー・ソング〈My Son Tim〉はフランク・ハートの『My Name Is Napoleon Bonaparte』から。またスキッパーズ・アレイの2ndではフルートで演奏していた〈Tralee Gaol〉を2本のホイッスルでローランド・カーク並みの試みも。アルバムの其処彼処で聴けるロス・チェイニーのシンセなどの音響効果が気になるところですが、ディック・ゴーハンを想わせる豪快な歌声にはその点を補って余るものがあります。

 

上右:Nora Brown / Sidetrack My Engine(Jalopy Records, 2021)

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ブルックリン出身のフォーク・シンガー兼バンジョー奏者ノラ・ブラウンの第2作は、パンデミックの昨年夏、ブルックリンの古い地下室で、アンペックスのテープレコーダーにRCAのヴィンテージ・マイクロフォンを使ってモノラル録音されました。真っ白な10インチのアナログ盤にはインスト2曲に挟まれた唄ものが5曲、都合7曲のトラッドが収められています。アルバムのタイトルはケンタッキーのバラッド・シンガー、アディー・グレアムの〈The Very Day I'm Gone〉から。その切々としたミンストレル・バンジョーの弾き語りはアルバム一番の聴きどころです。今回はダウン・ヒル・ストラグラーズのジャクソン・リンチとジャロピー・レコーズから7インチをリリースしているジェロン・ブラインドボーイ・パクストンが参加しています。

 

下左:Bert Jansch / Best Of Live(Mooncrest, 2020)

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バート・ヤンシュの2006年4月22日シェフィールドのメモリアル・ホールにおける公演は既に『Fresh As A Sweet Sunday Morning』や『Strolling Down The Highway』などCD・DVDでリリースされていましたが、本作は同内容の初アナログ化です。〈It Don't Bother Me〉で幕を開け、〈Strolling Down The Highway〉〈Rosemary Lane〉〈Blackwaterside〉など代表曲が並びます。時期的にリリース(2006年9月)直前の『The Black Swan』から数多く唄われていますが、特にスタジオではベス・オートンに唄わせていた〈Katie Cruel〉がバート自身の歌唱で聴くことができ、〈My Donal'〉〈Blues Run The Game〉〈Carnival〉〈October Song〉など60年代のフォーク・クラブ時代の仲間たちの楽曲も取り上げているのが聴きどころでしょう。

 

下右:Jim Eldon ‎/ I Wish There Was No Prisons(Stick Records, 1984)

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ワン・ロウ・レコーズからモッシー・クリスチャンとフィドルのデュオ・アルバムをリリースしたジム・エルドンは、スプリングスティーンをフィドルで弾き語る大層なシンガー兼フィドル奏者。本作はビル・リーダーによって録音されたソロ・デビュー作で、トラッドの無伴奏若しくはフィドル弾き語りが多くを占め、朴訥ながらも滋味あるれる歌声に癒されます。また数曲で聴かれるリーズ・バンドとのインストは殆どタフティ・スィフトのベイクウェル・タルトの世界。これを名盤と云わずして何と云いましょう。なおジムの唄う〈The Deserter〉はグロスタシャーのトラヴェラー、ウィギー・スミスの歌唱をお手本にしたもので、〈Ratcliffe Highway〉とも呼ばれるフェアポートの〈The Deserter〉とは別のものと云っていいでしょう。

 

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2021-10-14 16:45:00
ブルックリンのジャロピー・レコーズからノラ・ブラウンの新作『Sidetrack My Engine』が届きました。

ブルックリンのジャロピー・レコーズからノラ・ブラウンの新作『Sidetrack My Engine』が届きました。

 

Nora Brown / Sidetrack My Engine(Jalopy Records, 2021)

ノラ・ブラウンはブルックリン出身のまだ16歳のフォーク・シンガー兼バンジョー奏者。一昨年のデビュー・アルバム『Cinnamon Tree』に続く第2作で、パンデミックの昨年夏、ブルックリンの古い地下室で、アンペックスのテープレコーダーにRCAのヴィンテージ・マイクロフォンを使ってモノラル録音されました。

  

真っ白な10インチのアナログ盤に収められているのはトラディショナル7曲。のっけの〈8th of January〉はフレイザー&パタースンの歴史的レコーディングをお手本にしたバンジョーとフィドルによるインスト曲。また最後の〈Briggs’ Hop Light Hornpipe Medley〉もリアノン・ギデンスがカロライナ・チョコレート・ドロップス時代に録音したメドレーに更にもう1曲加えたインスト曲。そしてこれら2曲のインストルメンタルに挟まれたディランも取り上げたマーダー・バラッド〈Frankie and Albert〉やジョン・コーエンから習ったという〈Wedding Dress〉など5曲の唄ものでノラの歌声が充分に堪能できるという趣向になっています。

 

アルバムのタイトルはケンタッキーのバラッド・シンガー、アディー・グレアムの〈The Very Day I'm Gone〉からの一節を引いたもの。もちろんノラはアディー自身の唄も聴いていましたが、トリビュート・アルバム『The Very Day I'm Gone: Songs of Addie Graham』に収められたアンナ&エリザベスの歌唱でこのホーボー・ソングの魅力を再認識したとのこと。ノラの切々としたミンストレル・バンジョーの弾き語りはアルバム一番の聴きどころです。

  

なお、今回はダウン・ヒル・ストラグラーズのジャクソン・リンチがフィドルで、同じジャロピー・レコーズから7インチをリリースしているジェロン・ブラインドボーイ・パクストンがボーンでそれぞれ2曲ずつ参加しています。

 

Track List

A1. 8th of January (Traditional from Frasier & Patterson)

A2. Frankie and Albert (Traditional from John Haywood)

A3. Liza Jane (Traditional)

A4. The Very Day I’m Gone (Traditional from Addie Graham)

B1. Wedding Dress (Traditional from John Cohen)

B2. Green Valley Waltz (Traditional from McCratt Brothers & Patterson)

B3. Briggs’ Hop Light Hornpipe Medley (Traditional from Tom Briggs)

 

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2021-09-29 11:19:00
カフェトラモナ10月のおすすめレコード

カフェトラモナ10月のおすすめです。

 

上左:Marry Waterson & Oliver Knight / 10th Anniversary Edition(One Little Independent Records, 2021)

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マリー・ウォーターソンとオリヴァー・ナイトのデビュー・アルバム『The Days That Shaped Me』がリリースされたのは2011年の春。ブリティッシュ・フォークの金字塔的名盤と評されたそのアルバムがリリース10周年を記念してレコード・ストア・デイのアイテムとしてアナログ化されました。真っ赤なレコードの2枚組で、A、Bの両面とC面の前半にオリジナルの14曲が、C面後半とD面にはアンディ・カッティングとオリヴァーによるインストを含む7曲のボーナス・トラックが収録されています。極めつけはラル・ウォーターソンの名曲〈Fine Horseman〉のカヴァーでしょう。この9月4日に24回目の命日を迎えた母親の偉大な遺志を二人の姉と弟が確りと受け継いでいるのが分かります。

 

上右:Henry Parker / Silent Spring(Self-released, 2019)

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ヘンリー・パーカーはウェスト・ヨークシャー出身のSSW/ギタリスト。幼い頃からブラック・サバスやスレイヤーなどハードロックやヘヴィメタを聴いて育ったそうですが、リーズ大学在学中に出会ったバート・ヤンシュの1stアルバムがそれまでの音楽的嗜好を劇的にフォーク・ミュージックにシフトさせたとのこと。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』にインスパイアされたタイトル曲を含む本作は2019年のデビュー・アルバムで、かつてバートが取り上げたトラッド曲、『Rosemary Lane』収録の〈Sylvie〉とペンタングル時代の〈Willie O Winsbury〉をカヴァーしています。バートやジョン・レンボーンに通じる卓越したギターとオーガスティン・ボスフィールドの弾くダブル・ベースのスリリングなアンサンブルがペンタングルを想わせますが、内省的な歌声はむしろニック・ドレイク。近年稀にみるSSWアルバムの傑作です。

 

下左:Tim Easton / You Don't Really Know Me(Black Mesa Records, 2021)

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ナッシュヴィルのSSW、ティム・イーストンの10枚目のスタジオ・アルバム。プロデュースはブラッド・ジョーンズ&ロビン・イートンで、1998年のデビュー・アルバム『Special 20』を制作したコンビネーションが蘇りました。もちろん録音はアレックス・ザ・グレート・スタジオ。このところ弾き語りアルバムが続いたティムですが、今回は確りとバンド編成でかつてのティム・イーストンが戻ってきたようです。パンデミックの中で書かれた楽曲はこれまでになく自伝的とか。昨年亡くなった二人のソングライター、ジョン・プラインとジャスティン・タウンズ・アールに捧げられた〈Voice On The Radio〉と〈River Where Time Was Born〉が特に印象的です。

 

下右:Laura Nyro ‎/ Go Find The Moon-The Audition Tape(Omnivore Recordings, 2021)

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デビュー作『More Than A New Discovery』に先立つ1966年、18歳のローラ・ニーロが受けたミルト・オークンとアーティ・モーグルのオーディション音源のリリースです。1stの〈And When I Die〉〈Lazy Susan〉や2ndに収められる〈Luckie〉の初期ヴァージョン、未発表の〈Enough Of You〉〈In And Out〉〈Go Find The Moon〉の自作曲のほか、「何かポップスを」と促されて数小節口遊んだ〈When Sunny Gets Blue〉〈Kansas City〉〈I Only Want To Be With You〉などが収録されていますが、どの曲を取っても後に私たちが知ることになるローラ・ニーロは既に出来上がっていたようです。なお〈And When I Die〉と〈Lazy Susan〉は2004年の歌詩集『Lyrics & Reminiscences』付属のCDのものと同じ音源と思われます。

 

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2021-09-25 16:41:00
お客様から教えていただいたヘンリー・パーカーの『Silent Spring』が届きました。

九州福岡のお客様、Mさんから"ジョナー・トルチンの『Fires for the Cold』と並ぶ名盤"と教えていただいたヘンリー・パーカーの『Silent Spring』が届きました。

 

ヘンリー・パーカーはウェスト・ヨークシャー出身のSSW/ギタリスト。幼い頃からブラック・サバスやスレイヤーなどハードロックやヘヴィメタを聴いて育ちましたが、リーズ大学在学中に出会ったバート・ヤンシュの1stアルバムがそれまでの音楽的嗜好を劇的にフォーク・ミュージックにシフトさせたとのこと。マイケル・チャップマン、ウィズ・ジョーンズ、ブリジット・セント・ジョン、ソフト・マシーンなどのサポート・ワークをしながら、ソロ活動を続け、この11月には2ndアルバムもリリースされる予定です。

 

レイチェル・カーソンの名著『沈黙の春』にインスパイアされた〈Silent Spring〉をタイトル曲にした本作は2019年のデビュー・アルバムで、プロデュースはピート・コーやスティーヴ・ティルストンで知られるデヴィッド・クリックモア。バックにはオーガスティン・ボスフィールド(ダブル・ベース)、ブレンダン・バチェ(ドラムス)、セオ・トラヴィス(フルート)等を配し、特にソフト・マシーンのセオによるフルートが要所要所で良い仕事をし、程よいアシッド感を醸しています。

 

生前のバートのライヴ・パフォーマンスには間に合わなかったようですが、本作ではかつてバートが取り上げたトラッド曲を2曲カヴァー。1曲は『Rosemary Lane』の〈Sylvie〉、もう1曲はペンタングル時代の〈Willie O Winsbury〉。バート・ヤンシュやジョン・レンボーンに通じる卓越したギターとボスフィールドのダブル・ベースのスリリングなアンサンブルがペンタングルを想わせますが、内省的な歌声はむしろニック・ドレイク。確かに近年稀にみるSSWアルバムの傑作です。(Mさんありがとう。)

 

蛇足ながらヘンリーの無人島レコードはウォータソンズの『A Yorkshire Garland』とのこと。頼もしい限りです。

  

Henry Parker – Silent Spring

Not On Label (Henry Parker self-released), 2019

 

A1. New Mantras 3:51

A2. Silent Spring 4:11

A3. False Guidance 4:35

A4. Sylvie 4:39

A5. Door Walk Blues 3:06

 

B1. Drive East 4:34

B2. Marbled Wren 4:38

B3. Days In A Dream 3:24

B4. Prospect Of Wealth 2:29

B5. Willie O Winsbury 5:16

 

Vinyl edition of 239

 

Henry Parker: Vocals, Guitars, Morris Drum

Augustin Bousfield: Double Bass, Harmonium

Brendan Bache: Drum Kit, Congas, Shaker

Theo Travis: Flute

David Crickmore: Fender Rhodes, Morris Drum

 

Produced and engineered by David Crickmore

Mastered by Neil Ferguson

 

All songs © Henry Parker 2019

All songs written by Henry Parker, except tracks A4 & B5, traditional arr. Henry Parker 

 

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2021-08-29 21:28:00
カフェトラモナ9月のおすすめレコード

カフェトラモナ9月のおすすめです。

 

上左:David Wiffen / At The Bunkhouse Coffeehouse(Mapache Records, 2021)

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カナダのSSW、デヴィッド・ウィフェンがデビュー前の1965年公演先のヴァンクーヴァーで自主制作したアルバムの初リイシュー盤です。ライヴ録音ではなく、バンクハウス・コーヒーハウスの近くの小さなスタジオで3時間で録り終え、100枚ほどプレスしたとのこと。イアン・タイソンの〈Four Strong Winds〉で幕を開けるアルバムには自作曲の〈Slice Of Life〉を始め、1stアルバムではピアノ伴奏で唄われる〈Since I Fell For You〉のギター・ヴァージョン、英国出身のウィフェンらしくロニー・ドネガンのレパートリーから〈Times Are Getting Hard〉など全11曲。注目すべきはジェシ・コリン・ヤングが『The Soul Of A City Boy』で唄ったロビン・リメイリーの〈Four In The Morning〉。その後〈More Often Than Not〉〈Driving Wheel〉など名曲の数々を生み出すウィフェンの原点です。

 

上右:Cold Diamond & Mink / From Us To You...With Love(Timmion Records, 2021)

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ジェブ・ロイ・ニコルズとコールド・ダイアモンド&ミンクとの組み合わせによるジェブ・ロイの新作『Jeb Loy』は、ソウル・ミュージックへの揺るぎないリスペクトを持つ2組のミュージシャンたちが出会うべくして出会い生まれた傑作でした。近年心あるソウル・ファンの衆目を集めるフィンランドのレーベル、ティミオン・レコーズのハウス・バンド、コールド・ダイアモンド&ミンクの2ndは『Jeb Loy』のインスト集。ジェブ・ロイの歌声で聴き馴染んだメロディが『Jeb Loy』と同じ順で並び、ユッカ・サラッパ(Drums)とサミ・カンテリネン(Bass)の鉄壁のリズム・セクションをバックにセッポ・サルミのギターが自在に唄います。

 

下左:Steve Dawson's Funeral Bonsai Wedding / Last Flight Out(Kernel Sound Recordings, 2020)

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スティーヴ・ドーソンはシカゴを拠点に活躍するフォーク・ロック・バンド、ドリー・ヴァーデンのフロントマン。新作の『At The Bottom Of A Canyon In The Branches Of Tree』がリリースされたばかりですが、こちらは2014年に立ち上げた別プロジェクトのフューネラル・ボンサイ・ウェディングによる昨年の2nd。ドーソンのアコースティック・ギター弾き語りと、シカゴのジャズ・ヴィブラフォン奏者ジェイソン・アダシェヴィッツのトリオとのコラボに、本作ではカルテット・パラプリュイによる弦楽四重奏が加わり、カントリー・ソウルな歌声に纏わりつくヴァイブやストリングスの音の重なりはクールでいてスリリングです。

 

下右:Various Artists ‎/ Migrating Bird - The Songs of Lal Waterson(Honest Jon's Records, 2007)

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ラル・ウォーターソンのトリビュート盤と云えばディック・ゴーハンやマーティン・カーシーなど英国フォーク界の重鎮たちが参加したトピックの『Shining Bright』が想い起されその圧倒的な出来に納得させられますが、Honest Jon'sの6曲入りEP盤は意外性の一枚。アラスデア・ロバーツやナンシー・エリザベス、ジェイムズ・ヨークストンなどは未だしもヴィクトリア・ウィリアムスやマイケル・ハーレーの米国勢が参加し、同時リリースのCDには嬉しい驚きのジェブ・ロイ・ニコルズも。大丈夫かと思いきや各々の個性に合わせた抜群の選曲で実にしっくりした歌声を聴かせてくれます。トラッドや英国フォークの枠の中で捉えがちなラルの音楽的な多様性に思い至るアルバムです。

 

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