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2022-11-09 17:52:00
英国トピック・レコードから今年リリースされた新録音CDのご紹介です。

今年になって英国トピック・レコードから3枚のCDがリリースされました。

 

Hannah Sanders & Ben Savage: Ink of the Rosy Morning (Topic TSCD610)

Angeline Morrison: The Sorrow Songs (Topic TSCD611) 

Various Artists: Sea Song Sessions (Topic TSCD612) 

 

どれも新録音で瑞々しいフォーク・ミュージックを聴かせてくれ、トピックの充実ぶりが窺えます。

こちら で順番にご紹介いたしますのでご覧ください。

2022-11-06 16:23:00
カフェトラモナ11月のおすすめレコード

カフェトラモナ11月のおすすめです。

 

上左:The Unthanks​​ / Sorrows Away(RabbleRouser Music, 2022)

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ノーサンバーランド出身のレイチェルとベッキーのアンサンク姉妹を中心としたアンサンクスの新作です。前作は女性3人によるアカペラ・ライヴ集だったのでバンド編成のアルバムは久々。ストリングスやブラスも駆使したアンサンクスならではのトラッド解釈が堪能できます。全10曲中レイチェルとベッキーの自作曲が1曲ずつと、先行リリースされていたゴードン・ボックの〈The Bay of Fundy〉のほかはすべてトラッド。レイ・フィッシャーで知られる〈The Great Silkie of Sule Skerry〉やシラ・ブラックの〈Liverpool Lullaby〉の元歌〈Sandgate Dandling Song〉、ニオファ・キーガンの歌声も素晴らしいマクピーク・ファミリーの〈My Singing Bird〉などなど。タイトル曲の〈Sorrows Away〉はコッパー・ファミリーやオークで有名な〈Thousands or More〉とアイリッシュの〈Love Is Kind〉を繋げたものですが、〈Love Is Kind〉はタインサイドのシンガー、ジム・マギーンから学んだとのこと。ジムは姉妹の父親ジョージ・アンサンクの所属するアカペラ・グループ、ザ・キーラーズの一員で、他にも〈The Great Silkie of Sule Skerry〉はやはりメンバーのアラン・フィッツシモンズの唄ったオークニー・ヴァージョンで、〈The Bay of Fundy〉もキーラーズのレパートリーだったとか。となると俄然タインサイドのキーラーズが気になり始めます。ジャケットのイラストは花火だそうです。横浜市立図書館のデジタルアーカイヴで公開されている平山煙火カタログ掲載のイラストを引用し、花火を見上げるレイチェルとベッキーも描かれています。

 

上右:Derek Piotr / Yes, They All Sing - Nathan Salsburg Version(DPSR, 2022)

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デレク・ピョートルの新作『The Devil Knows How』は日常生活の中で継承される歌の伝統に対する敬意が伝わる名盤でした。本作はその冒頭を飾った〈Yes, They All Sing〉をジョーン・シェリーのギタリストとしてお馴染みのネイサン・サルスバーグがリアレンジしたもの。1939年の歴史的録音を行ったハルパート博士とリーナ・タービーフィル夫人との会話に寄り添うように奏でられるギターがネイサンのLandwerkプロジェクトを想わせ、アラン・ロマックス・アーカイヴのキュレーターも務めるネイサンのデレクに寄せる共感を表しています。12インチのアナログ盤に1曲のみ収録。裏面にも溝がありますが音は入っていません。限定10枚プレスの超貴重盤。なんとも不思議なレコードです。

 

下左:Fred Neil / 38 MacDougal(Delmore Recording Society, 2020)

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ホーリー・モーダル・ラウンダースのピート・スタンフェルは「誰もがフレッド・ニールになりたがっていた」と云ったとか。ディランを始め、スティーヴン・スティルスやデイヴィッド・クロスビー、ポール・カントナーなど多くのロック・ミュージシャンに影響を与えたフレッド・ニールは1965年『Bleecker & MacDougal』でソロ・デビューを果たしますが、録音中プロデューサーのポール・ロスチャイルドとの軋轢でスタジオを飛び出してしまいます。本作は飛び出したフレッドを宥めるためギタリストのピーター・チャイルズがジョン・セバスチャンと共有していたマクドゥガル38番地のアパートに誘って録音したもの。そのセッションが50年以上の時を経てやっと日の目を見ました。アンペックスのオープンリールで録られたのは全8曲。〈Little Bit Of Rain〉〈Sweet Cocaine〉など後に1stや2ndで唄われる6曲のほか、18世紀のアイリッシュ・バラッド〈Once I Had A Sweetheart〉とアフロ・アメリカンのスピリチュアル〈Blind Man Standing By The Road And Crying〉が初出曲。フレッドのバリトン・ヴォイスに絡みつくサイケデリックの到来を予見するかのようなピーターのギターが聴きどころでしょうか。買い逃していたRSDのアイテムをやっとコレクションできました。

 

下右:Various Artists / Everybody's Talkin' - A Tribute To Fred Neil(Y&T Music, 2019)

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かつてスティーヴン・スティルスはミュージック・ライフ誌に掲載されたインタビュー記事で「ギターの先生はフレディー・ニール」と語り僕たちをワクワクさせました。誰もがフレッド・ニールになりたがっていたのです。そんなフレディーの数少ないトリビュート・アルバムです。共同で創設したドルフィン・プロジェクトへのベネフィットでもあることから地元マイアミのミュージシャンの参加が目立ちますが、のっけの〈The Dolphins〉はエリック・アンダーセン。ジョン・セバスチャンやアーティ・トラウムも参加してウッドストックのネヴェッサで録音されています。またテア・ダウン・ザ・ウォールの盟友ヴィンス・マーティンは〈Handful of Gimme〉を唄っていますが、2018年7月6日に亡くなる3週間ほど前の録音。2分足らずの熱唱につい引き込まれてしまいます。他にボビー・イングラムが〈Little Bit Of Rain〉を、キース・サイクスが〈Everybody's Talkin'〉を、ロドニー・クロウエルが〈Candyman〉を唄っています。

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2022-10-20 17:55:00

10/23(日)は都合により18時00分までの営業とさせていただきます。

ご迷惑をおかけしますが、ご了承いただきますようよろしくお願いいたします。

2022-10-04 14:13:00
カフェトラモナ10月のおすすめレコード

カフェトラモナ10月のおすすめです。

 

上左:​​Erika Lewis / A Walk Around The Sun(Self Released, 2022)

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エリカ・ルイスはニューオーリンズで活躍するトラディショナル・ジャズ・バンド、チューバ・スキニーのヴォーカリスト兼バス・ドラム奏者。本作は2ndソロ・アルバムですが、バンドの時とは打って変わってその趣は寧ろクラシック・カントリー。穏やかな歌声が映えるSSWアルバムに仕上がっています。プロデュースはデズロンズのジョン・ジェームズ・トゥアーヴィル。アルバムを通してチューバ・スキニーのリーダー、シェイ・コーンがコルネットではなく、フィドルやピアノ、ハーモニー・ヴォーカルでバンド・メイトのために気を吐いています。

 

上右:Maria Muldaur with Tuba Skinny / Let’s Get Happy Together(Stony Plain Records, 2021)

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マリア・マルダーの昨年の新作がチューバ・スキニーとのコラボだったのを見逃してついスルーしてしまいました。そのチューバ・スキニーはニューオーリンズのストリート・ミュージシャンで結成されたトラディショナル・ジャズ・バンド。コルネット、クラリネット、トロンボーン、チューバ、バンジョー、ギター、ウォッシュボードなどでアーリー・ジャズや戦前ブルースを歌い奏でるとあればマリアとの相性は抜群。ウッドストックの洋服店で流れていたのを聴いて惚れ込んだマリアからのオファーとか。ジェフ・マルダーの『His Last Letter』やマイケル・ハーレー『The Time of the Foxgloves』と同様にレジェンドたちの現役感が横溢するアルバムです。

 

下左:六角精児 / 人は人を救えない(P-Vine Records, 2022)

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この春CDで話題になった六角さんの70年代フォークを唄ったカヴァー集がアナログ盤でリリースされました。先ず選曲の良さに驚きます。〈雪の月光写真師〉〈風景〉〈スカンピン〉と並ぶだけでもう脱帽もの。スーパーヴァイザーの長門氏の貢献も大きいでしょうが、ライナーにはリチャード・トンプソンやニール・カサールの名もあり、ご自身も相当のリスナーとお見受けしました。そして何より歌声が素晴らしく、特に女性目線で唄われる〈あたしのブギウギ〉や〈女の証し〉での抑える巧さは俳優さんならでは。俳優の唄う歌はひと味違うと云われる所以でしょう。時おりリトル・フィートやスワンパーズを想わせる若手ミュージシャンたちの演奏も心地よく、アッという間のA、B面です。第2弾も期待したいところ。その時は亡くなったイサトさんや小林監督の名曲も後世に歌い継がれると良いですね。

 

下右:Green Ribbons / Green Ribbons(Matière Mémoire Editions, 2019)

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グリーン・リボンズはバード・エレンのデビー・アーマー、バード・イン・ザ・ベリーのジンウーことベンジャミン・ウェッブ、フランキー・アームストロング、アラスデア・ロバーツの4人による無伴奏ボーカル・プロジェクト。デビーがリアム・ウェルドンの『Dark Horse On The Wind』で聴いた〈The Well Below The Valley〉で始まる本作は全13曲。9曲のトラッドのほか、フランキーが1曲、ジンウーが3曲の自作曲を提供していますが、タイトル曲はジンウーがボドリアンのアーカイヴで見つけたトラッド詞に自作の曲を付けたもの。ペンタングルの〈Once I Had a Sweetheart〉も同じ詞をアダプトして唄ったもののようです。そんな各々が持ち寄った曲をソロ、デュエット、フル・アンサンブルと趣向を凝らし、アカペラ・シンギングの素晴らしさを余すことなく伝えてくれるアルバムです。

 

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2022-08-31 16:50:00
カフェトラモナ9月のおすすめレコード

カフェトラモナ9月のおすすめです。

 

上左:Nora Brown / Long Time To Be Gone(Jalopy Records, 2022)

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ノラ・ブラウンの3rdアルバム。かつてティム・バックリィやサンディ・デニーの歴史的トリビュート・コンサートが開催され、最近ではブルックリン・フォーク・フェスティヴァルで有名なセント・アン教会で録音された本作は、ノラのお気に入りのソロ・バンジョー・チューンをまとめたもの。多くはインストで、うたものはA、B面に2曲ずつ収められています。いつも使っているギブソンのスネイク・ヘッド・バンジョーを始め、計4本のバンジョーを使い分けていますが、極め付けはロスコー・ホルコムがお気に入りだったジョン・コーエン所有のバンジョーで弾き語れる〈Rye Whiskey 〉と〈Little Birdie〉のメドレー。16歳の少女のものとは思えぬ落ち着いた歌声に圧倒されます。この夏ニューポート・フォーク・フェスティヴァルで共演した黒人バンジョー奏者ジェイク・ブロウントは「ノラ・ブラウンをまだ聴いていないなら人生を無駄にしている」とツィートしています。

 

上右:Burd Ellen / Says The Never Beyond(Self-released, 2020)

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ニック・ハートの新作にピーター・ベラミーと並んでクレジットされていたバード・エレンは、デビー・アーマーとゲイル・ブローガンのグラスゴーで活躍するフォーク・ユニット。デビーが唄い、ゲイルがコーラスやヴァイオリン、シンセサイザーなどでデビーの凛としたトラッド・シンギングをバックアップします。ニックも唄った〈Sweet Lemany〉収録の1st『Silver Came』は既にフィジカルCDはソールドアウト。データ配信で我慢し、こちらはアナログ盤が入手できた2ndです。20年11月にリリースされ、これから迎える英国の冬の民間信仰や伝統行事に関する唄やキャロルを集めたコレクション。スティーライやウォータソンズで有名な〈Please to See the King〉で幕を開け、レイチェル・ニュートンもハープで参加した本作は、ガーディアン紙の同年ベスト・フォーク・アルバム第6位に選ばれています。

 

下左:Leon Redbone / Mystery Man(Reel Music, 2022)

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オリジナルのリリースは1982年のアコード盤。4作目『From Branch To Branch』に続く初のライヴ音源でしたが、プレス枚数が少なく、レッドボーンのディスコグラフィの中でもレアなアイテムになっていました。が、昨年Good Time RecordsからCD-Rでリリースされていたものが今年になってReel Musicでアナログ化。40年ぶりのリイシューです。2、3作目から〈Nobody's Sweetheart〉〈Sheik Of Araby〉〈T.B. Blues〉などのほか、ブラインド・ボーイ・フラーやビッグ・ビル・ブルーンジーを弾き語っていますが、その卓越したギター・テクニックは秀逸。再認識した次第です。

 

下右:K.C. Jones / Queen Of The In Between(Self-released, 2021)

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プロデューサーのジョエル・サヴォイはケイジャン音楽の名門マークとアンのサヴォイ家の出身で、フィドルやギターの名手。自ら創設したヴァルクール・レコード、リリースの『I Wanna Sing Right』はロマックス親子の収集した楽曲のカヴァー集で、ルイジアナ音楽の過去と現在を繋げる傑作でした。主人公のK・C・ジョーンズことケリィ・ジョーンズはジョエルの公私にわたるパートナーで、先の『I Wanna ~』でも共演。フィドルも能くし、二人がケイジャン・フィドル2本でペトラ・クラークをカヴァーした7インチ『Toi, Tu Joues À L'Amour』は必聴です。で本作ですが、ケイジャン・フィドルは封印し、コケティッシュな歌声を全面的にフィーチャーしたケリィ初のソロ・アルバム。ケリー・ホーガンの傑作『I Like to Keep Myself in Pain』を想わせます。

 

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