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2022-12-07 10:40:00
カフェトラモナ12月のおすすめレコード

カフェトラモナ12月のおすすめです。

 

上左:​Jeb Loy Nichols​ / The United States Of The Broken Hearted(On-U Sound, 2022)

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ジェブ・ロイ・ニコルズの最新作は盟友エイドリアン・シャーウッドのプロデュースでOn-Uサウンドからのリリース。この組み合わせは2010年の『Long Time Traveller』以来ですが、この時ほどレゲエ、レゲエしていません。寧ろレゲエを含めカントリー、フォーク、ジャズ、ソウルなど様々な音楽的要素を咀嚼した音作りは名作『Lovers Knot』を想わせます。全12曲中サラ・オーガン・ガニングの〈I Hate The Capitalist System〉、ガスリーの〈Deportees〉、カントリー・クラシックの〈Satisfied Mind〉のほかは自作曲。〈I'm Just A Visitor〉はフェロウ・トラヴェラーズ時代の再演になります。アルバム・タイトルといい、カヴァー曲といい、ジェブは母国アメリカを憂えているのでしょうか。エイドリアン曰くジェブの「グレート・アメリカン・ソングブック」だそうです。

 

上右:Hannah Read and Michael Starkey / Cross The Rolling Water(Hudson Records, 2022)

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SSWでフィドラーのハンナ・リードはブルックリンに住むスコットランド人。前作の『Way Out I’ll Wander』はニューハンプシャーとニューヨークで録られたSSWアルバムでしたが、今回はエジンバラを拠点とするバンジョー奏者マイケル・スターキーとの共演盤です。ハドソン・レコードのアンディ・ベルのプロデュースで録音こそスコティッシュ・ボーダーズですが、フィドラーとバンジョー奏者の視線は遥かアパラチアの彼方。アルバムは米国議会図書館に残された黒人フィドラー、ジョン・ラスクの録音から学んだ〈Apple Blossom〉で始まり、スターキー作〈Blue River〉やクライド・ダヴェンポートの〈Johnny Come Along〉などインスト中心。エジンバラで開かれたアパラチアン・オールド・タイム・セッションで出会ったという二人らしい選曲です。数少ない唄もののうち〈Shenandoah〉はアナイス・ミッチェルの作品。讃美歌を想わせるメロディに魅かれたというハンナの歌声の得も言われぬ美しさは聴きどころの一つです。

 

下左:Tré Burt / You, Yeah, You(Oh Boy Records/Thirty Tigers, 2021)

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トレ・バートはサクラメント出身の黒人SSW。ジョン・プラインに見い出されてセルフ・リリースしていた1st『Caught It From The Rye』が2020年にオー・ボーイからリイシューされデビューしました。本作はノースカロライナのダーラムで録られた2nd。あるインタビューでエリザベス・コットン、リッチー・ヘヴンス、タウンズ・ヴァン・ザントなどからの影響を語っていますが、プラインからの影響も隠せません。本作収録の〈Dixie Red〉はプラインへのオマージュ。南部産の桃であるデキシーレッドがプラインの〈Spanish Pipedream〉を想起させ、歌詞に散りばめられた"パラダイス"や"ドナルド&リディア"、"グリーンリヴァー"などがケンタッキー州ミューレンバーグ郡のパラダイスへ誘います。さぞプラインも己の遺産が確りと継承されているのに天国のThe Tree Of Forgivenessでほくそ笑んでいることでしょう。

 

下右:The Watersons / Frost And Fire: A Calendar of Ritual and Magical Songs(Topic Records, 2022)

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1965年の歴史的名盤のリイシューです。幼い時に両親を失いアイルランドのトラヴェラーの血を引く祖母に育てられたノーマ、マイク、ラルのウォータソン姉弟がはとこのジョン・ハリソンを加え結成したザ・ウォータソンズ のデビュー作はその年のメロディ・メイカー誌の最優秀フォーク・アルバムに輝きました。地元ヨークシャーに伝わる「季節・農作業・祭礼の歌」を集めたアルバムには後にアルビオン・カントリー・バンド、トラフィック、スティーライ・スパンに唄われる〈Hal-an-Tow〉〈John Barleycorn〉〈Wassail Song〉が収められ、フェアポート加入前のサンディ・デニーも〈Seven Virgins〉〈The Sans Day Carol〉をレパートリーにしています。1990年、2007年にCD化され、3回目のリイシューですが、今回は45回転のアナログ盤1枚でのリリース。A、B両面で30分ほどの収録時間で内容も無伴奏歌唱であることから圧縮すべき情報量が少なく45回転が可能になったようで、月並みですが4人が同じ部屋にいてすぐそばで唄ってくれるような臨場感です。

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2022-11-30 11:49:00
トピック・CD更新しました。最後は海の歌のアンソロジーです。

今年になって英国トピック・レコードから3枚のCDがリリースされました。

 

Hannah Sanders & Ben Savage: Ink of the Rosy Morning (Topic TSCD610)

Angeline Morrison: The Sorrow Songs (Topic TSCD611) 

Various Artists: Sea Song Sessions (Topic TSCD612) 

 

どれも新録音で瑞々しいフォーク・ミュージックを聴かせてくれ、トピックの充実ぶりが窺えます。

 

最後は現在の英国フォーク・シーンを牽引する中堅ミュージシャンたちによる海の歌のアンソロジー。更新しましたので こちら をご覧ください。

2022-11-19 18:20:00
トピックの新録音CDのご紹介を更新しました。

今年になって英国トピック・レコードから3枚のCDがリリースされました。

 

Hannah Sanders & Ben Savage: Ink of the Rosy Morning (Topic TSCD610)

Angeline Morrison: The Sorrow Songs (Topic TSCD611) 

Various Artists: Sea Song Sessions (Topic TSCD612) 

 

どれも新録音で瑞々しいフォーク・ミュージックを聴かせてくれ、トピックの充実ぶりが窺えます。

 

少し長くなりますが、更新しましたので こちら をご覧ください。

2022-11-09 17:52:00
英国トピック・レコードから今年リリースされた新録音CDのご紹介です。

今年になって英国トピック・レコードから3枚のCDがリリースされました。

 

Hannah Sanders & Ben Savage: Ink of the Rosy Morning (Topic TSCD610)

Angeline Morrison: The Sorrow Songs (Topic TSCD611) 

Various Artists: Sea Song Sessions (Topic TSCD612) 

 

どれも新録音で瑞々しいフォーク・ミュージックを聴かせてくれ、トピックの充実ぶりが窺えます。

こちら で順番にご紹介いたしますのでご覧ください。

2022-11-06 16:23:00
カフェトラモナ11月のおすすめレコード

カフェトラモナ11月のおすすめです。

 

上左:The Unthanks​​ / Sorrows Away(RabbleRouser Music, 2022)

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ノーサンバーランド出身のレイチェルとベッキーのアンサンク姉妹を中心としたアンサンクスの新作です。前作は女性3人によるアカペラ・ライヴ集だったのでバンド編成のアルバムは久々。ストリングスやブラスも駆使したアンサンクスならではのトラッド解釈が堪能できます。全10曲中レイチェルとベッキーの自作曲が1曲ずつと、先行リリースされていたゴードン・ボックの〈The Bay of Fundy〉のほかはすべてトラッド。レイ・フィッシャーで知られる〈The Great Silkie of Sule Skerry〉やシラ・ブラックの〈Liverpool Lullaby〉の元歌〈Sandgate Dandling Song〉、ニオファ・キーガンの歌声も素晴らしいマクピーク・ファミリーの〈My Singing Bird〉などなど。タイトル曲の〈Sorrows Away〉はコッパー・ファミリーやオークで有名な〈Thousands or More〉とアイリッシュの〈Love Is Kind〉を繋げたものですが、〈Love Is Kind〉はタインサイドのシンガー、ジム・マギーンから学んだとのこと。ジムは姉妹の父親ジョージ・アンサンクの所属するアカペラ・グループ、ザ・キーラーズの一員で、他にも〈The Great Silkie of Sule Skerry〉はやはりメンバーのアラン・フィッツシモンズの唄ったオークニー・ヴァージョンで、〈The Bay of Fundy〉もキーラーズのレパートリーだったとか。となると俄然タインサイドのキーラーズが気になり始めます。ジャケットのイラストは花火だそうです。横浜市立図書館のデジタルアーカイヴで公開されている平山煙火カタログ掲載のイラストを引用し、花火を見上げるレイチェルとベッキーも描かれています。

 

上右:Derek Piotr / Yes, They All Sing - Nathan Salsburg Version(DPSR, 2022)

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デレク・ピョートルの新作『The Devil Knows How』は日常生活の中で継承される歌の伝統に対する敬意が伝わる名盤でした。本作はその冒頭を飾った〈Yes, They All Sing〉をジョーン・シェリーのギタリストとしてお馴染みのネイサン・サルスバーグがリアレンジしたもの。1939年の歴史的録音を行ったハルパート博士とリーナ・タービーフィル夫人との会話に寄り添うように奏でられるギターがネイサンのLandwerkプロジェクトを想わせ、アラン・ロマックス・アーカイヴのキュレーターも務めるネイサンのデレクに寄せる共感を表しています。12インチのアナログ盤に1曲のみ収録。裏面にも溝がありますが音は入っていません。限定10枚プレスの超貴重盤。なんとも不思議なレコードです。

 

下左:Fred Neil / 38 MacDougal(Delmore Recording Society, 2020)

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ホーリー・モーダル・ラウンダースのピート・スタンフェルは「誰もがフレッド・ニールになりたがっていた」と云ったとか。ディランを始め、スティーヴン・スティルスやデイヴィッド・クロスビー、ポール・カントナーなど多くのロック・ミュージシャンに影響を与えたフレッド・ニールは1965年『Bleecker & MacDougal』でソロ・デビューを果たしますが、録音中プロデューサーのポール・ロスチャイルドとの軋轢でスタジオを飛び出してしまいます。本作は飛び出したフレッドを宥めるためギタリストのピーター・チャイルズがジョン・セバスチャンと共有していたマクドゥガル38番地のアパートに誘って録音したもの。そのセッションが50年以上の時を経てやっと日の目を見ました。アンペックスのオープンリールで録られたのは全8曲。〈Little Bit Of Rain〉〈Sweet Cocaine〉など後に1stや2ndで唄われる6曲のほか、18世紀のアイリッシュ・バラッド〈Once I Had A Sweetheart〉とアフロ・アメリカンのスピリチュアル〈Blind Man Standing By The Road And Crying〉が初出曲。フレッドのバリトン・ヴォイスに絡みつくサイケデリックの到来を予見するかのようなピーターのギターが聴きどころでしょうか。買い逃していたRSDのアイテムをやっとコレクションできました。

 

下右:Various Artists / Everybody's Talkin' - A Tribute To Fred Neil(Y&T Music, 2019)

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かつてスティーヴン・スティルスはミュージック・ライフ誌に掲載されたインタビュー記事で「ギターの先生はフレディー・ニール」と語り僕たちをワクワクさせました。誰もがフレッド・ニールになりたがっていたのです。そんなフレディーの数少ないトリビュート・アルバムです。共同で創設したドルフィン・プロジェクトへのベネフィットでもあることから地元マイアミのミュージシャンの参加が目立ちますが、のっけの〈The Dolphins〉はエリック・アンダーセン。ジョン・セバスチャンやアーティ・トラウムも参加してウッドストックのネヴェッサで録音されています。またテア・ダウン・ザ・ウォールの盟友ヴィンス・マーティンは〈Handful of Gimme〉を唄っていますが、2018年7月6日に亡くなる3週間ほど前の録音。2分足らずの熱唱につい引き込まれてしまいます。他にボビー・イングラムが〈Little Bit Of Rain〉を、キース・サイクスが〈Everybody's Talkin'〉を、ロドニー・クロウエルが〈Candyman〉を唄っています。

 

ご来店の際にリクエストしてください。

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