Vinyl and so on

arrival
2019-09-11 11:28:42
Bob Copper / Prostrate with Dismal(2014)

シャーリー・コリンズとアルビオン・カントリー・バンドの超名盤『ノー・ローゼズ』。一曲目の〈クラウディ・バンクス〉で出典元としてクレジットされているサセックスのボブ・コパーは、イングランドで最も尊敬されているトラッド・シンガーです。1971年にコパー・ファミリーがトレイラーに残した『A Song For Evrey Season』は、一家が200年以上にわたって綿々と歌い継いできたトラッド・ソングを集大成した名作として英国トラッド史上に燦然と輝いています。そんなボブ・コパーが大のブルース・ファンであったのはあまり知られていません。1930年代にスリーピー・ジョン・エステスのSP盤を中古店で買い求めたのが始まりとか。そう云えばブラインド・ウィリー・ジョンソンのトリビュート・アルバム『Dark Was the Night』にもイングリッシュ・カントリー・ブルース・バンドを率いたボブ・コパーの〈Soul of a Man〉が収録されていました。

 

本作は生誕100周年を前にこれまでばらばらにリリースされていた音源を一つに纏め上げたもので、イアン・A・アンダーソンのナショナル・スティールとベン・マンデルソンのマンドリンをバックに唄う〈Diving Duck〉〈Brownsville No. 2〉〈Soul of a Man〉、自身のコンサーティーナで弾き語る〈Rags and Old Iron〉〈Going Down to Brownsville〉の5曲が収録されています。

 

たった5曲ですが、南イングランドの隠れたブルース・シンガーが生涯にわたって遺した全てのブルース音源が堪能できる一枚。音楽はいつも南を目指します。

 

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2019-08-12 15:34:34
『The Road To Peterloo』『The Man In The Red Car』『Bold Champions』『Luke Plumb & Kate Burke』

30年以上前からお付き合いをさせていただいている大分のCDショップ『タムボリン』さんからイングランドのトラッドを中心とした素敵なCDが届きました。

 

Coe, Peters & Smyth / The Road To Peterloo(2019)

 

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70年代にPete & Chris Coeの夫妻デュオで活躍し、『Out of Season, Out of Rhyme』『Bandoggs』など数多くの名作を残すピート・コー、80年代にそのピートの後ろ姿を追ってキャリアをスタートさせたマンチェスターのフォーク・シンガー、ブライアン・ピーターズ、現在イングランドで最も注目されているフォーク・デュオLaura Smyth & Ted Kempのローラ・スマイス。 その世代の異なる3人のシンガーが、1819年にマンチェスターで起こったイギリスの労働史上最も悪名高い出来事の1つである Peterloo Massacre(ピータールーの虐殺)について、当時印刷されたブロードサイド・バラッドで唄い綴ったアルバムです。フォーク・シンガー斯くあるべしという信念が横溢しています。

 

Pete Coe / The Man In The Red Car(2017)

 

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ピート・コーの前作。これまでのシンガーとしてのキャリアをバンジョー、ブズーキ、メローディオンなどで弾き語り、名曲〈Farewell to the Brine〉も再演しています。1曲のみプロデューサーのデイヴィッド・クリックモアがリチャード・トンプソンを想わせるエレクトリック・ギターを凄くイイ感じで弾いています。

 

The Dovetail Trio / Bold Champions(2019)

 

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ギターとヴォーカルのジェイミー・ロバーツ、ヴォーカルの紅一点ロージー・フッド、デュエット・コンサーティーナとヴォーカルのマット・クイン、3人がそれぞれ別のプロジェクトやソロ作でも活躍する強者ぞろいのイングランドのトリオの2nd。ジェイミーのギターとマットのコンサーティーナの卓越した腕前も然る事乍ら〈Black-Eyed Susan〉〈Death and the Lady〉〈The Wreck of the Northfleet 〉〈Four and Twenty Fiddlers〉などで聴かれる無伴奏のコーラス・ワークは脱帽ものです。因みにマット・クインはFlowers and FrolicsやGas Mark 5でメローディオンを弾いていたダン・クインの息子さんとか。

 

Luke Plumb & Kate Burke / Luke Plumb & Kate Burke(2019)

 

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前作でアンディ・アーヴァインとの共演で気を吐いたオーストラリアのルーク・プラム。今回はやはりオーストラリアのフォーク・デュオKate Burke & Ruth Hazletonのケイト・バークとの共作です。既にルークはKate Burke & Ruth Hazletonの『Declaration』をプロデュースしているので当然の成り行きでしょうか。Kate Burke & Ruth Hazletonはこれまで〈Lay Down Your Weary Tune〉〈Let Me Die in My Footsteps〉などディランの、それも渋い楽曲を取り上げてきているので常に気になる存在。今回はディラン曲こそ唄っていませんが、R・トンプソンの〈Crazy Man Michael〉やA・フィッシャーの〈The Witch of the Westmorland〉など秀逸です。

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2019-07-13 14:13:48
Dan Penn / Do Right Man(1994、2018)

先日富山のAさんにご来店いただきました。Aさんは1990年代終わりから2000年代半ばまで発行していた小冊子『VINYL』の同人で、20年来の友人です。お土産に『Do Right Man』のアナログ盤を持って来てくれました。

 

ご存じのとおり『Do Right Man』は米国南部のソングライター/プロデューサー、ダン・ペンの2ndアルバム。当初はCDのみのリリースで、2013年にMusic On Vinylがヨーロッパでアナログ化していましたが、本国アメリカではいただいたライノ盤が2018年の初アナログ化です。

 

改めて聴きなおすとリードギターは全曲この1月に亡くなったレジー・ヤングだったんですね。〈You Left The Water Running〉なんて凄いです。またアヴァ・アルドリッジやジョージ・スーレが名を連ねているバッキング・ボーカルやホーン・セクションもいい味を出しています。もちろんダン・ペンの歌声もソウルフルこの上なく、〈The Dark End Of The Street〉〈Do Right Woman Do Right Man〉〈I'm Your Puppet〉などベスト盤的収録内容で、1stよりこちらを推す人が多いのも頷けます。やっとアナログ盤でも聴けるようになりました。

2019-07-10 13:12:10
Everything but the Girl / Amplified Heart(1994、2019)

エヴリシング・バット・ザ・ガール、1994年の『Amplified Heart』が発売25周年を記念してアナログ化されました。

 

発売当時アルバムに先行してリリースされた2枚のシングルがフィル・ラモーンのプロデュースだったため、遂にEBTGもポール・サイモンやビリー・ジョエルのような超一流の仲間入りかと噂されていましたが、実際にリリースされた『Amplified Heart』はベン・ワットとトレイシー・ソーンのEBTG自身のプロデュース。しかしこれがリチャード・トンプソン、ダニー・トンプソン、デイヴ・マタックス等の参加したとんでもない傑作だったのです。

 

ダニー・トンプソンとデイヴ・マタックスの参加は〈Rollercoaster〉〈I Don't Understand Anything〉〈Two Star〉〈We Walk the Same Line〉の4曲のみですが、うち〈I Don't Understand Anything〉と〈Two Star〉にはハリー・ロビンソンのストリングスも加わり、まるでサンディ・デニーの『Like An Old Fashioned Waltz』。サンディやニック・ドレイクの一連のアルバムを想起せずにはいられません。またリチャード・トンプソンは〈25 December〉で、たった8小節ですが渾身のギター・ソロを聴かせ、他人のサポートでは最高の演奏をすると云われるトンプソンの面目躍如です。

 

あるようでなかったネオアコの人気デュオと英国フォーク界のオールド・スクールとの歴史的な邂逅でしたが、このコンビ―ネーションは本作1作で終わり、アルバム収録の〈Missing〉のリミックス・ヴァージョンの大ヒットにより、この後EBTGはドラムンベースの道を突き進むことになるのです。

2019-07-08 09:24:56
Townes Van Zandt ‎/ Sky Blue(2019)

テキサスのSSW、タウンズ・ヴァン・ザントの生きていれば75歳になる誕生日(3月7日)の週にリリースされた新作です。とは云っても録音は1973年。ジョージア州アトランタの友人宅スタジオで録られたもので、今回初めて日の目を見る音源です。特に〈All I Need〉と〈Sky Blue〉はこれまで一度も発表されて来なかったヴァン・ザント曲です。

 

1973年と云えば、68年のデビュー以来コンスタントにアルバムを発表してきたヴァン・ザント、72年の『The Late Great Townes Van Zandt』リリース後、ようやく日本でも知られるようになった矢先アルバム・リリースがピタリと止まってしまいます。4年のブランクを経て1977年に発表されたのが『Live At The Old Quarter, Houston, Texas』で、このライブ・アルバムが録音されたのが1973年でした。

 

〈Blue Ridge Mountain Blues〉と〈The Last Thing on My Mind〉で遥か後方にバンジョーが聴こえるほかは『Live At The Old Quarter, Houston, Texas』と同様全編アコースティック・ギターの弾き語りです。そしていつもながらタウンズ・ヴァン・ザントの歌声は何処までも内省的です。

 

Track List

A Side

01. All I Need (Townes Van Zandt)

02. Rex's Blues (Townes Van Zandt)

03. Hills of Roane County (Carter Stanley and Ralph Stanley)

04. Sky Blue (Townes Van Zandt)

05. Forever, For Always, For Certain (Richard Dobson)

06. Blue Ridge Mountain Blues - smoky version (Townes Van Zandt)

B Side

01. Pancho and Lefty (Townes Van Zandt)

02. Snake Song (Townes Van Zandt)

03. Silver Ships of Andilar (Townes Van Zandt)

04. Dream Spider (Townes Van Zandt)

05. The Last Thing on My Mind (Tom Paxton)

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