Vinyl and so on
ご覧のとおりジャケット・デザインはバッファロー・スプリングフィールドは『アゲイン』のオマージュです。もちろんジャケ買いです。そしてレーベルはアトコの「パープル&ブラウン」レーベルを、帯はワーナーパイオニア発売当時のものを意識し、徹底しています。
A面は超特急なるグループの歌う「ソレイユ」、テレビ東京系ドラマ「フルーツ宅配便」のエンディングテーマだそうです。B面には作者である高田漣がセルフカバーした「ソレイユ」が収められています。
高田漣のB面ですが、伊藤大地(D)、伊賀航(B)、野村卓史(EP)をバックにした高田漣のギター・リフははっぴいえんど「あしたてんきになあれ」へのオマージュでした。ごきげんです。
アイルランドはキャバン州出身のフォーク・シンガーによる4thアルバム。これまでの3作は自主制作盤でしたが、本作はラフトレード傘下のRiver Lea Recordingsからリリースされています。マーガレット・バリーやネリー・ウェルドンをお手本にしたという硬質なシンギングがトピックやマリガンの世界に誘ってくれます。ムッソリーニ暗殺を企てたアイルランド女性を唄った自作曲「Violet Gibson」は秀逸です。
Track List
A1. The Galway Shawl (Trad.)
A2. Along The North Strand (Trad.)
A3. Blackbird (Written by O'Neill)
A4. The Lass of Aughrim (Trad.)
A5. Violet Gibson (Written by O'Neill)
B1. The Factory Girl (Trad.)
B2. Rock The Machine (Written by O'Neill)
B3. A Year Shy of Three (Words by O'Neill,Musical Arrangement Trad. )
B4. Lullaby of London (Shane MacGowan)
Musicians
Cormac Begley - Concertinas
Christophe Capewell - Fiddle and Harmonium
Libby McCrohan - Bouzouki
Lisa O’Neill - Vocals, Banjo and Guitars
Radie Peat(Lankum) - Vocal on The Factory Girl
詳しくはブログをご覧いただき、ご来店の際にリクエストしてください。
年末からずっとストリーミングで聴いていたデヴィッド・クロスビーの新譜、やっとブツが届きました。
クロスビーのソロ名義であってもベッカ・スティーヴンス、ミッシェル・ウィリス、マイケル・リーグの若手3人との共同制作で、ジョニ・ミッチェルの「ウッドストック」以外は曲作りをほぼ4人が共同で行い、リード・ヴォーカルも分け合っています。しかし、聴けるサウンドはデヴィッド・クロスビーそのもので、1stソロ『If I Could Only Remember My Name』、それもB面2曲目「トラクション・イン・ザ・レイン」からお終いまでの一連の流れを髣髴させます。
アルバム全体で聴けるベッカとミッシェルのヴォーカルがジョニ・ミッチェルを想わせ、「ジョニ・ミッチェルとデュオでやりたかったことを若手と具現化した」というRC誌の評は頷けるところ。オリジナル・バーズで「フォー・フリー」を聴いた時の感動が蘇ります。
Jimmy Aldridge & Sid Goldsmithは、イングランドのフォーク・デュオで、Laura Smyth & Ted Kempと並んで今一番カフェトラモナが注目しているイングランドのシンガーです。
本作は彼らの3枚目のアルバムで、昨年9月にリリースされていましたが、いっときアマゾンでCDを扱っていなかったので本人たちのホームページから直接購入したためやっと年末に届きました。なんでもディストリビューターが日本語の住所表記がよく分からなかったとか。
全11曲のうち、4曲がトラッド、4曲が自作曲、残り3曲がカヴァーで、トラッドでは奇しくもLaura Smyth & Ted Kempが最新作でタイトル曲として取り上げている「The Poacher's Fate」を唄っています。
いわゆるPoachers Songで、ブロードサイド・バラッドには密猟したあげくに猟場番人の罠にはまり、殺されたり、タスマニアに流刑された密猟者(ポーチャー)を唄ったバラッドが数多く残されています。マーティン・カーシーもアルビオン・カントリー・バンド『Battle of the Field』で「Gallant Poacher」を取り上げています。
18世紀のイギリス農村部では市場経済の発展に伴い、これまで共同体に解放されていた「コモン」とよばれる共有地の、大地主によるエンクロージャ「囲い込み」(排他的占有)が行われ、零細の農民たちは自分たちの農地や狩猟地を奪われてしまいます。生活を守るために彼らが取った手段は、これまで何世代にもわたって行ってきた狩猟を引き続き行うことでした。「密猟」として。したがって「密猟」は、トラッドの世界においては大地主などの支配層に対するカウンターな行動として捉えられているのです。
そんな唄の数々をジミーとシドは、自らの奏でるバンジョーとギターのほか、抑制のきいたフィドル、ベース、ドラムをバックに切々と唄います。特に自作曲ではジミーがイニシアティブを取っているようで、そのポール・ブレイディを想わせる歌声は聴くものの心をとらえて離しません。
カヴァー曲も秀逸で、toramona's 99でもご紹介したリアム・ウェルドンの「Via Extasia」のほか、Joseph Campbellの詩にJeff WesleyがTrad曲を付けた「The Seasons」はノーフォークの小鳥の囀りをバックにアカペラで唄われています。ジミーとシドはこの曲をペタ・ウェッブとケン・ホールのCDで学んだそうですが、この曲を収録したアルバム『As Close as Can Be』も名盤です。
Many a Thousand Track List
01. Hope and Glory (Jimmy Aldridge, Sid Goldsmith)
02. Working Chap (Trad. , Additional lyrics Martin Carthy)
03. Turning of the Year (Jimmy Aldridge, Sid Goldsmith)
04. Reedcutter's Daughter (Trad. )
05. The Last Ploughshare (John Conolly)
06. Hawk's Call (Trad. )
07. A Monument to the Times / The Stepped Ford (Jimmy Aldridge, Sid Goldsmith)
08. Via Extasia (Liam Weldon)
09. The Poacher's Fate (Trad. )
10. The Tide (Jimmy Aldridge, Sid Goldsmith)
11. The Seasons (Joseph Campbell, Jeff Wesley, Trad. )