Vinyl and so on

テキサスのSSW、タウンズ・ヴァン・ザントの生きていれば75歳になる誕生日(3月7日)の週にリリースされた新作です。とは云っても録音は1973年。ジョージア州アトランタの友人宅スタジオで録られたもので、今回初めて日の目を見る音源です。特に〈All I Need〉と〈Sky Blue〉はこれまで一度も発表されて来なかったヴァン・ザント曲です。
1973年と云えば、68年のデビュー以来コンスタントにアルバムを発表してきたヴァン・ザント、72年の『The Late Great Townes Van Zandt』リリース後、ようやく日本でも知られるようになった矢先アルバム・リリースがピタリと止まってしまいます。4年のブランクを経て1977年に発表されたのが『Live At The Old Quarter, Houston, Texas』で、このライブ・アルバムが録音されたのが1973年でした。
〈Blue Ridge Mountain Blues〉と〈The Last Thing on My Mind〉で遥か後方にバンジョーが聴こえるほかは『Live At The Old Quarter, Houston, Texas』と同様全編アコースティック・ギターの弾き語りです。そしていつもながらタウンズ・ヴァン・ザントの歌声は何処までも内省的です。
Track List
A Side
01. All I Need (Townes Van Zandt)
02. Rex's Blues (Townes Van Zandt)
03. Hills of Roane County (Carter Stanley and Ralph Stanley)
04. Sky Blue (Townes Van Zandt)
05. Forever, For Always, For Certain (Richard Dobson)
06. Blue Ridge Mountain Blues - smoky version (Townes Van Zandt)
B Side
01. Pancho and Lefty (Townes Van Zandt)
02. Snake Song (Townes Van Zandt)
03. Silver Ships of Andilar (Townes Van Zandt)
04. Dream Spider (Townes Van Zandt)
05. The Last Thing on My Mind (Tom Paxton)

ご覧のとおりジャケット・デザインはバッファロー・スプリングフィールドは『アゲイン』のオマージュです。もちろんジャケ買いです。そしてレーベルはアトコの「パープル&ブラウン」レーベルを、帯はワーナーパイオニア発売当時のものを意識し、徹底しています。
A面は超特急なるグループの歌う「ソレイユ」、テレビ東京系ドラマ「フルーツ宅配便」のエンディングテーマだそうです。B面には作者である高田漣がセルフカバーした「ソレイユ」が収められています。
高田漣のB面ですが、伊藤大地(D)、伊賀航(B)、野村卓史(EP)をバックにした高田漣のギター・リフははっぴいえんど「あしたてんきになあれ」へのオマージュでした。ごきげんです。

アイルランドはキャバン州出身のフォーク・シンガーによる4thアルバム。これまでの3作は自主制作盤でしたが、本作はラフトレード傘下のRiver Lea Recordingsからリリースされています。マーガレット・バリーやネリー・ウェルドンをお手本にしたという硬質なシンギングがトピックやマリガンの世界に誘ってくれます。ムッソリーニ暗殺を企てたアイルランド女性を唄った自作曲「Violet Gibson」は秀逸です。
Track List
A1. The Galway Shawl (Trad.)
A2. Along The North Strand (Trad.)
A3. Blackbird (Written by O'Neill)
A4. The Lass of Aughrim (Trad.)
A5. Violet Gibson (Written by O'Neill)
B1. The Factory Girl (Trad.)
B2. Rock The Machine (Written by O'Neill)
B3. A Year Shy of Three (Words by O'Neill,Musical Arrangement Trad. )
B4. Lullaby of London (Shane MacGowan)
Musicians
Cormac Begley - Concertinas
Christophe Capewell - Fiddle and Harmonium
Libby McCrohan - Bouzouki
Lisa O’Neill - Vocals, Banjo and Guitars
Radie Peat(Lankum) - Vocal on The Factory Girl
詳しくはブログをご覧いただき、ご来店の際にリクエストしてください。


年末からずっとストリーミングで聴いていたデヴィッド・クロスビーの新譜、やっとブツが届きました。
クロスビーのソロ名義であってもベッカ・スティーヴンス、ミッシェル・ウィリス、マイケル・リーグの若手3人との共同制作で、ジョニ・ミッチェルの「ウッドストック」以外は曲作りをほぼ4人が共同で行い、リード・ヴォーカルも分け合っています。しかし、聴けるサウンドはデヴィッド・クロスビーそのもので、1stソロ『If I Could Only Remember My Name』、それもB面2曲目「トラクション・イン・ザ・レイン」からお終いまでの一連の流れを髣髴させます。
アルバム全体で聴けるベッカとミッシェルのヴォーカルがジョニ・ミッチェルを想わせ、「ジョニ・ミッチェルとデュオでやりたかったことを若手と具現化した」というRC誌の評は頷けるところ。オリジナル・バーズで「フォー・フリー」を聴いた時の感動が蘇ります。