Vinyl and so on

arrival
2019-12-17 18:39:57
Ry Cavanaugh / Time For This(2019)
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90年代中頃からボストンで活躍するSSW、ライ・キャヴァナウのクラウドファンディングで制作したアルバム。初めてプレッジしてみました。

 

そもそものライ・キャヴァナウは1996年にリリースされた『One Night In Cambridge』というコンピレーション。当時のボストン/ケンブリッジのフォーク・シーンが一望できるライヴ・アルバムで、ライ・キャヴァナウが制作し、あのメアリー・ゴウシェも参加していました。その後ショーン・ステイプルズ、クリス・デルムホーストと組んだヴァイナル・アヴェニュー・ストリング・バンドや元ザ・ストーリーのジェニファー・キンボールとのポップ・デュオ、メイビー・ベイビーなどで活躍し、自作の〈Lighthouse Light〉がメアリー・ブラックやレッドバード(クリス・デルムホーストが夫のジェフリー・フーコーとピーター・マルヴェイと組んだトリオ)に取り上げられ知られています。

 

ソロ作は1998年のEP(後に『April EP』と名付けられ、ジェイ・ベルローズが参加しています。)のみで、今作が実に21年ぶりのソロ・アルバムです。

 

全9曲、生前やはりボストン/ケンブリッジのフォーク・サーキットで活躍していたという父親ジョージ・キャヴァナウのペンによる作品集。ライの名前は誕生の少し前に1stアルバムをリリースしたライ・クーダーにちなんで名づけられたとのこと。愛妻ジェニファーのコーラスと盟友デューク・レヴィンのギターのみに伴われる穏やかなライの歌声は父親ジョージ・キャヴァナウの歌心を確りと歌い継いでいます。

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2019-11-17 13:20:09
Anya & Sue / First Meeting - Deep Snow Tour(2019)
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現在ノースキャロライナのSSW、アーニャ・ヒンクルさんと全国をツアー中のスーマーさんの新譜です。これは昨年のツアーの模様を収録したAnya & Sue名義のライヴ・アルバムで、それぞれの持ち歌を1曲ごと交互にリード・ヴォーカルを取っています。食器のぶつかる音やスマホのシャッター音なども聞こえるかなりラフなライヴ音源ですが二人の真摯な歌声は聴く者にしっかりと伝わる良いアルバムです。

 

シナジー効果でしょうか、〈悪魔とバンジョー〉〈泥水は揺れる〉〈嵐が過ぎ去ったそのあとで〉などお馴染みのス―マー曲もアーニャさんのフィドルとコーラスを伴っていつもとは別の表情を見せ、格別の味わいを醸しています。

 

またアーニャさんの少しアーシーで艶やかな歌声も素晴らしく、特に日本語で歌われれる〈漕ぐだけさ〉は白眉。パイカスの岩城さんのスリリングなラップ・スティールと相俟ってまさに名曲の名唱を聴かせてくれます。

 

最後は二人で共作した〈東京に雪が降る〉です。アーニャさんの英語詞とスーマーさんの日本語詞が違和感なく歌われる名曲で、スーマーさんのブートレッグ・シリーズに新たな名作が加わりました。

 

Track List

01. 老いぼれダート ファーマー (Sue)

02. エヴァー・ホワット・ゼイ・セイ (Anya)

03. さよならジャクリーヌ (Anya & Sue)

04. 蜜蜂の泉 (Anya)

05. 悪魔とバンジョー (Sue)

06. 飛んでゆくの (Anya)

07. 泥水は揺れる (Sue)

08. 漕ぐだけさ (Anya)

09. 嵐が過ぎ去ったそのあとで (Sue)

10. 寂しき谷 (Anya)

11. 人生行きあたりばったり (Sue)

12. 東京に雪が降る (Anya & Sue)

13. 東京に雪が降る (Demo)

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2019-11-16 17:22:34
Jonah Tolchin / Fires for the Cold(2019)
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中川五郎さんから教えていただいたジョナー・トルチンの4作目。ジェイ・ベルローズ(Dr)、フレッド・タケット(Gt)、セバスチャン・スタインバーグ(Cb)らの抑制の効いた演奏がタウンズ・ヴァン・ザントを想わせる静謐な歌声を際立てます。

 

トルチンは1992年ニュージャージー生まれのSSW。前作はマーヴィン・エツィオーニ、プロデュースのマッスル・ショールズ録音で少しスワンプ寄りの作品でしたが、今回はワトキンズ・ファミリー・アワーのシェルドン・ゴンバーグのプロデュースによりコネチカットのキャリッジ・ハウス・スタジオで録音され、よりフォーキーな仕上がりになっています。このプロダクションの変更が奏功し、トルチン作品の中でも抜きん出た一枚になりました。

 

もちろんこのアルバムの魅力がトルチンの歌声と楽曲にあるのは云うまでもありませんが、A1、A5のサラ・ワトキンズのフィドルとコーラスやB2のリトル・フィート曲で聴けるジャクソン・ブラウンとリッキー・リー・ジョーンズのコーラスなども華を添えているのは確かで、70年代初めのブラックホークで聴いても傑作であることは間違いありません。 

 

A1. Supermarket Rage (Jonah Tolchin)

A2. The Real You (Jonah Tolchin)

A3. White Toyota Ranger (Jonah Tolchin)

A4. Turn To Ashes (Jonah Tolchin)

A5. Honeysuckle (Jonah Tolchin)

B1. Wash Over You (Jonah Tolchin)

B2. Roll Um Easy (Lowell George)

B3. Day By Day (Jonah Tolchin)

B4. Timeless River (Jonah Tolchin)

B5. Maybe, I'm A Rolling Stone (Jonah Tolchin)

 

ご来店の際にリクエストしてください。

2019-10-21 15:48:26
Rita Weill ‎/ Sings Ballads And Folksongs(1969)
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かつてスモール・タウン・トーク誌で紹介されていたのでずっと気になっていたアルバムです。つねにウィッシュリストの片隅には載っていたのですが、2015年のRoscoe Holcomb『San Diego State Folk Festival 1972』の裏ジャケットにロスコーとリタの微笑ましいツーショットが掲載されていたのを見て俄然上位に。やっとのコレクションです。

 

当時育児のために歌うのをやめて、『Los Angeles Broadside!』誌の編集や『Sing Out!』誌への寄稿などをしてフォーク・ミュージックにかかわっていたリタですが、タコマのジョン・フェイヒィに奨められてこのアルバムを制作したとのこと。

 

UCLAフォーク・フェスティヴァルの折、A・L・ロイドから習ったという〈Unquenching Fire〉を皮切りに、アイルランドへの蒐集旅行でゴールウェイ州カハリストランのセーラとリタ・ケーン姉妹が彼女のために歌ってくれた〈Lord Duneagle 〉、初期のアルビオン・カントリー・バンドも取りあげていた〈Lord Bateman〉のオザーク・ヴァージョンなど、トランスアトランティックな選曲で12曲。1、2曲でコンサーティーナかフィドルが伴奏されるほかは全曲無伴奏で歌われ、ペタ・ウェッブにも通ずるトラッド・シンギングが堪能できます。

 

その後リタはフランキー・アームストロングの『"...Out Of Love, Hope And Suffering."』をプロデュースし、そのアルバム中〈The Cuckoo〉では二人のデュエットを聴くことができます。

 

A1. Unquenching Fire

A2. William Hall

A3. Pretty Fair Damsel In The Garden

A4. The Bramble Briar

A5. Fond Affection

A6. Lord Duneagle

B1. Lord Bateman

B2. Rocking The Cradle

B3. The Wife Of Usher's Well

B4. The Dark-Eyed Gypsy

B5. The Lass Of Aughrim

B6. Polly Oliver's Rambles

 

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2019-10-15 17:01:47
『Rebel with Her Chords』『Clementine』『Backbone』『McNally Waters』『Singer Songwriter』
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最近コレクションされたCDをご紹介します。

ご来店の際にリクエストしてください。

 

◆Sandra Kerr / Rebel with Her Chords(2019)

クリティック・グループ関連や愛娘ナンシー・カーたちとの作品を含めると相当数のアルバムをリリースしている英国のベテラン・シンガー、サンドラ・カーの個人名義では5枚目の最新作。ナンシー・カー&ジェイムズ・フェイガン夫妻はもとより、ダヴテイル・トリオのロージー・フッドも参加しています。ランディ・ニューマンの〈Louisiana 1927〉のカヴァーは嬉しい驚きです。 

 

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◆Paper Wings / Clementine(2019) 

米オールド・タイムやアパラチアン・トラッドをフォーマットにしたオリジナル曲を唄う女性フォーク・デュオの2nd。ギターとフィドルのウィルヘルミナはグラミー・ウィナーであるジョイ・ウィリアムズのバック・バンドの一員として、バンジョーとフィドルのエミリーは西海岸のオールド・タイム・ストリング・バンド、クルックド・ジェイズのフィドラーとしても活躍しています。東のThe Other Yearsに対する西からの回答と云って良いでしょう。

 

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◆Pete Coe / Backbone(2010)

2010年のソロ5作目。ソロになってから伴奏楽器として5弦バンジョーを多用するようになったピート・コーですが、そのフレイリングとフット・タップの組み合わせから生れるグルーヴは英国フォーク・シーンで唯一無二。今回も〈Fair Margaret and Sweet William〉など5曲でバンジョーの弾き語りが堪能できます。またクリス・コーのサポートも聴きどころ。ピートのメローディオンにクリスのハンマード・ダルシマーが絡むダンス曲はやはり最強です。

 

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◆McNally Waters / McNally Waters(2019)

先だっての来日公演も素晴らしかったラリー・ジョン・マクナリーがピアノ/オルガン奏者のハリー・ウォーターズと組んだ新ユニットの1st。ユニット名義ではあっても全曲ラリーがヴォーカルをとっているのでラリーのソロ作と云ってもいいくらいです。素晴らしく有能な、しかもラリーの音楽とはすこぶる相性のいいピアノ/オルガン奏者が参加したこのアルバム、名作『夏の舗道』をもっと黒っぽくした傑作です。ちなみにハリー・ウォーターズはピンク・フロイドのベーシスト、ロジャー・ウォーターズの息子さんとのこと。

 

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◆スチョリ / Singer Songwriter(2019)

ラリーパパ&カーネギーママのピアノ奏者スチョリさんのソロ活動10周年を節目に公開レコ―ディングしたピアノ弾き語りアルバム。ラリーパパの〈風に乗って〉やロジャー・ティリソンに捧げた〈ダ・ボン〉などがピアノの弾き語りで唄われています。新曲の〈春の小舟〉はFoster meets The Bandをイメージした曲とか。菅野カズシゲさんのジャケットと相俟ってささくれた気持ちをまんまるくしてくれます。

 

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