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2021-06-16 10:57:00
カフェトラモナ6月のおすすめレコード

カフェトラモナ6月のおすすめです。

 

上左:Jeb Loy Nichols / Jeb Loy(Timmion Records, 2021)

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97年のソロ・デビュー作『Lovers Knot』はウッドストック産の名盤でしたが、早くも4半世紀弱ジェブ・ロイ・ニコルズの13枚目、イアン・ゴムとの共演盤を入れると14枚目の新作です。今回はカールトン・ジュメル・スミスやボビー・オローサなどで注目されるフィンランドのソウル・レーベル、ティミオン・レコーズからのリリース。もちろんバックはティミオンのハウス・バンド、コールド・ダイアモンド&ミンクが担当。セッポ・サルミの歌心溢れるギター・ワークやユッカ・エスコラの瀟洒なブラス・アレンジをバックに、齢を重ね渋みを増したジェブ・ロイのソウルフルな歌声が感動的です。かつてダン・ペンやトニー・ジョー・ホワイトらのカントリー・ソウル・レヴューをお膳立てしたジェブ・ロイらしいCountry Got Soulなアルバムです。

 

上右:Bonnie "Prince" Billy, Nathan Salsburg, Max Porter / Three Feral Pieces(No Quarter, 2021)

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コロナ禍の2020年、英国の若手作家マックス・ポーターがシャーリー・コリンズやジョーン・シェリーとの共演で知られるケンタッキー州ルイヴィルのギタリスト、ネイサン・サルスバーグにテキストのスクラップを送ったのが始まりです。ネイサンは隣人のボニー・プリンス・ビリーに声をかけ、共同で詩の断片を〈Orbit Song〉〈Unlearning Chant〉〈Here Song〉の3曲に仕上げました。それらは12インチのアナログ盤の片面に収録され、裏面にはルイヴィルのオスカー・パーソンズによるエッチングが施されています。ボニー・プリンスが唄い、ネイサンがギターを弾いた本作にはジョーン・シェリーもウーリッツァーで参加アコースティックながらもサイケデリックな一枚です。

 

下左:Rhiannon Giddens with Francesco Turrisi / They're Calling Me Home(Nonesuch Records, 2021)

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カラー・インサートの仲睦まじいツーショットが『No Roses』のシャーリーとアシュリーを想い起すリアノン・ギデンスとフランチェスコ・トゥリッシのコラボ第2作。2020年秋、ダブリン郊外の農場にあるヘルファイアー・スタジオで、今回は2人に加えコンゴのギタリストNiwel Tsumbuとアイリッシュ・フルート、イーリアン・パイプスのEmer Mayockも参加して1週間で録られています。キャロライナ・チョコレート・ドロップス時代に師匠のジョー・トンプソンと録音したことのある〈I Shall Not Be Moved〉の再演やトゥリッシのフレイム・ドラムだけで唄われる〈O Death〉など聴きどころ満載ですが、私なぞはジャッキー・マクシーの歌唱で知った〈When I Was in My Prime〉が甚く沁みわたります。

 

下右:Muckram Wakes ‎/ Warbles, Jangles and Reeds(Highway Records, 1980)

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先のモッシー・クリスチャンの1stに於けるジョン・アダムスの貢献には目を見張るものがありました。そのジョンのいたマックラム・ウェイクスの3rdアルバムです。ロジャーとヘレンのワトソン夫妻、ジョンとスージーのアダムス夫妻の2組の夫妻によるバンドで、一時はアルビオン・バンドのジョン・タムスが在籍していたり、ピート&クリス・コーらに合流してニュー・ヴィクトリー・バンドとして活動していたこともありましたが、これは夫妻2組による作品。達者な男性陣がフィドルやメロディオンだけでなくブラスも熟し、シェフィールドのフランク・ヒンクリフを手本にしたバラッドをアカペラで唄ったかと思えば、ミュージック・ホールの唄やカントリー・ダンス・ミュージックも聴かせます。極めつけは〈鉱夫の祈り〉の原曲〈Miner's Prayer〉やライ・クーダーも取り上げた〈Coming in on a Wing and a Prayer〉などのアメリカン・マテリアルでしょうか。

 

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