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カフェトラモナ11月のおすすめです。
上左:Gaby Moreno & Van Dyke Parks / ¡Spangled!(2019)
ヴァン・ダイク・パークスの新作はグアテマラ生まれでロスアンゼルスで活躍するSSWギャビー・モレノとの共演盤。中米出身のモレノのヴォーカルをメインに据え、取り上げる楽曲を広く汎アメリカに求めることにより“醜いアメリカ人”が出てくる前の時代を表現したかったとのこと。巷では現代版『ディスカヴァー・アメリカ』とも云われています。J・ブラウンがヴォーカル、R・クーダーがスライドで参加した〈Across The Borderline〉やデヴィッド・ラダーのカリプソ〈The Immigrants〉が聴きどころ。ニルソンが『Sandman』で歌っていた〈I'll Take A Tango〉やフォホーのイナタさを少し残した〈Esperando Na Janela〉などもあり、奥の深いアルバムです。
上右:Rachael & Vilray / Rachael & Vilray(2019)
レイク・ストリート・ダイヴのレイチェル・プライスと音楽院時代からの友人でギタリスト/シンガー/作曲家のヴィルレイとのデュオ・アルバム。1930~40年代のスタンダード・ジャズという二人の共通の音楽的嗜好に沿って作られたヴィルレイのオリジナル10曲は、カバー曲の1943年にキューバのPedro Junco Jr.が作った〈Nosotros〉やペギー・リーの〈I Love the Way You're Breaking My Heart〉と遜色のないクオリティの高さ。未来のスタンダード・ナンバー集と云っても過言ではありません。因みに息の合ったヴォーカルとヴィルレイのギターをバックアップするピアノ・トリオは我らのトニー・シェアが率いています。
下左:Ye Vagabonds / Hare's Lament(2019)
Lisa O'Neill、Brìghde Chaimbeulに続くラフ・トレード傘下のリヴァー・リー・レコードからの第3弾。イェ・ヴァガボンズはアイルランド南東部カーロウ州出身で現在はダブリンを拠点に活躍するBríanとDiarmuidの兄弟デュオです。卓越したブズーキとマンドリンのアンサンブルや終盤の〈Willie o Winsbury〉からも判るようにスウィニーズ・メンやプランクシティの影響が大きく、2曲目の〈The Foggy Dew〉の歌い出しなどはポール・ブレディを想わせ、ハッとさせられます。伝説のフォーク・シンガー、ロイ・ハーパーもイェ・ヴァガボンズを聴いて1960年代半ばソーホーにオープンしたフォーク・クラブ『レズ・カズンズ』の日々を想い起したそうです。
下右:Neal Casal / Shine A Light(2011)
11月2日はニール・カサールの生きていれば51回目の誕生日でした。本作はニールのルーツであったストーンズの『メイン・ストリートのならず者』から〈Shine a Light〉と〈Loving Cup〉をカヴァーした12インチ・シングル。ギターとピアノで弾き語られるこれらのジャガー/リチャーズ作品も『Return In Kind』と同様にニールらしさが横溢した素晴らしい“オリジナル・シングル”です。ご紹介するとともに夭逝した大好きなSSWのご冥福をお祈りします。
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カフェトラモナ10月のおすすめです。
上左:Martin Simpson / Rooted(2019)
英国を代表するフォークシンガー/ギタリスト、マーティン・シンプソンの最新作。60年代後半に多大な影響を受けたヘディ・ウェストの〈Queen Jane〉〈Joe Bowers〉の2曲、77年から88年まで一緒に仕事をしていたジューン・テイバーのレパートリーからシェル・シルヴァスタインの〈Hills of Shiloh〉、義父ロイ・ベイリーの晩年、ジョン・カークパトリックと3人で作った名作『Sit Down & Sing』から〈More Than Enough〉など、タイトルのとおり自身の音楽人生を振り返るような選曲です。
上右:Will Beeley / Heartattacks & Highways(2019)
1971年に200枚だけ自主制作した『Gallivantin』がメガレアなテキサスのSSW、ウィル・ビーリーの最新作。プロデュースはラリー・ジョン・ウィルソンの最後のアルバムをジェブ・ロイ・ニコルズと共同制作したジェリー・デイヴィッド・デシッカ。抑制の効いたラップ・スティールやアコーディオンが酒と煙草で嗄れた歌声をよくサポートしています。79年の2ndリリース後、家族を養うためにトラック・ドライバーの道を選んだ男の40年ぶりの3rdアルバムはタウンズ・ヴァン・ザントの『Townes Van Zandt』やガイ・クラークの『Old No.1』に比肩する傑作です。
下左:Jerry David DeCicca / Time the Teacher(2018)
先のジェリー・デイヴィッド・デシッカの2ndソロ・アルバム。旧友ジェブ・ロイ・ニコルズとノスタルジア77のベン・ラムディンが制作に携わり、デモ・テープを聴いたジェブ・ロイは真っ先にビリー・ホリデイとアビー・リンカーンを想いうかべ、アコギを抱えたSSWアルバムは作りたくなかったそうです。ギターをピアノに置き変えて、ジャージーかつソウルフル、それでいて内省的なアルバムを作り上げました。デシッカの3枚のアルバムのなかで抜きんでているのは云うまでもありません。
下右:The Down Hill Strugglers / Lone Prairie(2017)
ダウン・ヒル・ストラグラーズはウォーカー・シェパード、ジャクソン・リンチ、エリ・スミスの3人からなる若手ストリング・バンド。現在ブルックリンを中心に活躍し、先ごろ亡くなったニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのジョン・コーエンと映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』のサントラ盤にも参加していたのでお聴きの方もいらっしゃるかも。本作は2017年にリリースされた最新作で、フォーク・クラブの中央に2本のマイクを立て、ナグラ社のモノラル録音機で録ったとのこと。マイクに近寄ったり、マイクから離れたりしてサウンド・レベルの調整を図ったという彼らの歌と演奏はまるでハリー・スミスの『アンソロジー・オブ・アメリカン・フォーク・ミュージック』から抜け出て来たようです。
ご来店の際にリクエストしてください。
明日、いよいよ『Alan Patton 松浦 湊 Live at CafeToRamona』です。
午後5時スタートです。お間違いないようお越しください。
16 : 00開場、17 : 00開演
2500円+ドリンクオーダー
残席少々ございます。ご予約お待ちしています。
なお、当日は通常の営業はいたしません。
ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。