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2021-06-09 11:53:00
70年代後半のFree Reed RecordsのようなリンカンシャーのOne Row RecordsからCDが届きました。

リヴィング・トラディション誌第137号の表紙を飾ったモッシー・クリスチャンのワン・ロウ・レコーズから頼んでおいたCDが届きました。

 

モッシー・クリスチャンは、ピート・コーやブライアン・ピーターズが注目するリンカンシャー州出身の若手ミュージシャン。フィドルだけでなくメロディオンやコンサティーナも能くし、ピーター・ベラミーやマイク・ウォータースンに影響された歌唱にも定評があります。

 

ワン・ロウ・レコーズはそのモッシーが運営するレーベルで、独自のリリースCDこそまだ2枚だけですが、今後は引退してしまったロッド・ストラドリングがかつて創設したミュージカル・トラディションズやヴェテラン・テープスに残された貴重なソース・レコーディングもリリースしていくという頼もしいレーベルです。

 

今回届いたのは、2019年の記念すべきレーベル第1作であるジム・エルドンとモッシー・クリスチャンの共演作『Fiddle Duets』と、昨年末にリリースされたレーベル第2作でモッシーのソロ・デビュー作『Come Nobles and Heroes』の2枚。どちらも70年代後半にリリースされたフリー・リードの諸作を想わせる超ド級のイングリッシュ・トラッドです。なお、共演者のジム・エルドンはタフティ・スウィフトの2nd『You'll Never Die For Love』に参加し、BBCのアンディ・カーショウがコンパイルした『More Great Moments of Vinyl History』にスプリングスティーンをフィドルで弾き語った〈Dancing in the Dark〉が収録されたという大層なシンガー/フィドラーです。

 

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2021-05-29 14:17:00
Jeb Loy Nicholsのニュー・シングル『Can't Cheat The Dance』が届きました。

トラモナではお馴染みのジェブ・ロイ・ニコルズの新しいシングル『Can't Cheat The Dance』が届きました。

今回はカールトン・ジュメル・スミスやボビー・オローサなどで注目されるフィンランドのソウル・レーベル、ティミオン・レコーズからのリリース。もちろんバックはティミオンのハウス・バンド、コールド・ダイアモンド&ミンク。アコースティックながらもソウルフルな歌声が素晴らしく、かつて『The Jeb Loy Nichols Special』にボーナス・ディスクとしてスタックスのコンピを付けていたジェブ・ロイらしい面目躍如の一枚です。

6月にはティミオンからフル・アルバムもリリース予定。コールド・ダイアモンド&ミンクとがっぷり四つのアルバムが待ち遠しいジェブ・ロイ・ニコルズです。

 

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2021-05-12 11:34:00
カフェトラモナ5月のおすすめレコード

カフェトラモナ5月のおすすめです。

 

上左:Declan O’Rourke / Arrivals(East West Records, 2021)

デクラン・オルークの新作が届きました。

ゴールウェイを拠点に活躍するアイルランドのSSW、デクラン・オルークの4年ぶりの7作目が届きました。エディ・リーダーにカヴァーされたり、ポール・ウェラーに絶賛されたりで知られるオルークですが、今回はそのウェラーのプロデュースで、英サリー州にあるウェラーのブラック・バーン・スタジオで録音されています。オルーク自身のアコースティック・ギターやピアノの弾き語りに、曲によってウェラーの弾くヴァイブやハーモニウム、あるいはディーモン・ストリングスによるストリング・カルテットが加わるといった最小限のプロダクションが100点満点のSSWアルバムを作り上げました。敬愛するジョニ・ミッチェルへのオマージュ〈The Harbour〉、ゴールウェイのホームタウンに想いをはせる〈The Stars Over Kinvara〉、難民アスリート、ユスラ・マルディニのシリア脱出を唄った〈Olympian〉など後々歌い継がれるであろう名曲が並んでいます。なかでも圧巻はギターの弾き語りにダブリナーズのジョン・シーハンが弾くフィドルが美しい〈Convict Ways〉。1868年最後の流刑囚を西オーストラリアに運んだHougoumont号を唄ったトランスポーティング・バラッドで、ファースト・フリートを題材にしたピーター・ベラミーのバラッド・オペラ『Transports』を想い起します。

 

上右:Jake Blount / Spider Tales(Free Dirt Records, 2020)

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ジェイク・ブラントはロード・アイランドを拠点に活躍するアフリカン・アメリカンのフィドラー&バンジョー・プレイヤー。唄も能くし、この1stソロでも半数の7曲で素晴らしい歌声を聴かせます。これまで女性フィドラーとTuiというオールド・タイム・デュオを組んでいたこともあり、本作も女性フィドラーのタチアナ・ハーグリーヴスとバンジョーとフィドル或いはフィドル2本のデュオを基本とし、数曲でボディ・パーカッションやギター、ベースなどが加わります。プロデュースはホース・フライズのジェフ・クラウス-ジュディ・ハイマン夫妻。楽曲のソースをLucius SmithやDink Roberts、Nathan Frazier & Frank Pattersonなど黒人ミュージシャンだけでなく、Manco SneedやThe Helton Brothersなどネイティヴ・アメリカンにも求め、アパラチアン・ミュージックの奥深さを知らしめてくれました。さらにのっけの〈Goodbye, Honey, You Call That Gone〉ではガット弦のバンジョーがニック・ガレイスのステップダンスのパーカッション効果と相俟ってマルティニークのカリを想わせ、西インド諸島を経由して西アフリカまで誘ってくれます。

 

下左:Jason McNiff / Dust Of Yesterday(Tombola, 2021)

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英国のSSW、ジェイソン・マクニフの7枚目のフル・アルバム。ロンドンを離れヘイスティングスに移り住んで初めての本作はクリスティ・ムーアのプロデュースでも知られるロジャー・アスキューの制作で、イーストボーンにあるロジャーのホームスタジオで録音されました。90年代大学生活を送ったノッティンガムではウィズ・ジョーンズやデイヴィー・グレアムなどのフォーク・ブルースに傾倒し、ソーホーの12Barにはバート・ヤンシュを齧り付きで観るために6か月間毎週通ったとのこと。そんなジェイソンのフィンガーピッキングの弾き語りをロジャーとベス・ポーター(チェロ)、バーシア・バーツ(ヴァイオリン)等が控えめにバックアップします。Dust of Yesterdayのタイトルのとおり、これまでの人生の出来事を綴った作品集です。

 

下右: ‎/ You Can Never Go Fast Eough(Plain Recordings, 2003)

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モンテ・ヘルマン監督の『断絶』はちょうど50年前の1971年に制作されました。日本では翌年日劇のアート・シアターで上映されましたが、動くジェイムズ・テイラーに感動したのを覚えています。ジェイムズ自身出来上がった作品は観ていないと95年の来日時に語っていました。撮影には7~8週間くらいかかり、マッド・スライドの〈ハイウェイ・ソング〉はこの時戻ったホテルで書いたとのこと。本作は深夜のTV放送で『断絶』を観てすっかり魅了された音楽プロデューサーのフィリッポ・サルヴァドーリが、初めて劇場のスクリーンでこのロード・ムーヴィーを観たとき作ろうと思い立ったトリビュート・アルバム。ウィル・オールダムやキャレキシコ、マーク・アイツェル、ジャイアント・サンド、ソニック・ユースなどによる新録に加え、登場人物が走行中に聴いたであろうサンディ・ブルやロスコー・ホルコムなどの旧譜も収録されています。劇中少女役のローリー・バードが口ずさんでいた〈サティスファクション〉はキャット・パワーの秀逸なヴァージョンで聴くことができます。

 

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2021-04-30 10:54:00
デクラン・オルークの新作が届きました。

Declan O’Rourke / Arrivals(East West Records, 2021)

ゴールウェイを拠点に活躍するアイルランドのSSW、デクラン・オルークの4年ぶりの7作目が届きました。エディ・リーダーにカヴァーされたり、ポール・ウェラーに絶賛されたりで知られるオルークですが、今回はそのウェラーのプロデュースで、英サリー州にあるウェラーのブラック・バーン・スタジオで録音されています。オルーク自身のアコースティック・ギターやピアノの弾き語りに、曲によってウェラーの弾くヴァイブやハーモニウム、あるいはディーモン・ストリングスによるストリング・カルテットが加わるといった最小限のプロダクションが100点満点のSSWアルバムを作り上げました。敬愛するジョニ・ミッチェルへのオマージュ〈The Harbour〉、ゴールウェイのホームタウンに想いをはせる〈The Stars Over Kinvara〉、難民アスリート、ユスラ・マルディニのシリア脱出を唄った〈Olympian〉など後々歌い継がれるであろう名曲が並んでいます。なかでも圧巻はギターの弾き語りにダブリナーズのジョン・シーハンが弾くフィドルが美しい〈Convict Ways〉。1868年最後の流刑囚を西オーストラリアに運んだHougoumont号を唄ったトランスポーティング・バラッドで、ファースト・フリートを題材にしたピーター・ベラミーのバラッド・オペラ『Transports』を想い起します。

 

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2021-04-13 11:20:00
カフェトラモナ4月のおすすめレコード

カフェトラモナ4月のおすすめです。

 

上左:Neil Young / Young Shakespeare(Reprise Records, 2021)

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ニール・ヤングは節目節目に”フォーク・シンガー”になるというのをかつて読んだことがあります。CSN&Yのツアー終了後『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』をリリースしたニールは、1970年の暮れからカーネギー・ホールの公演を含むソロ・アコースティック・ツアーを行いました。本作は明けて71年1月22日コネチカット州ストラトフォードのシェイクスピア・シアターでのパフォーマンスを収録。2007年にリリースされたマッセイ・ホールの3日後になりますが、マッセイ同様瑞々しい歌声が堪能できます。DVDに収録されたドイツのテレビ・クルーが撮った貴重な映像ではメタルボディのリゾネーター・ギターに持ち替えて〈Dance Dance Dance〉唄う姿も確認できます。

 

上右:John Smith / The Fray(Commoner Records, 2021)

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イングランドのSSW/ギタリスト、ジョン・スミスの6枚目のスタジオ・アルバム。前作ではトラッドも取り上げ、ほぼ弾き語りに近いアルバムでしたが、今回は共作も含め全曲オリジナルで、曲によっては抑え気味のホーンも入る少しポップな仕上がりになりました。プロデュースはジョンとサム・レイクマンとの共同制作で、録音はピーター・ゲイブリエルのリアル・ワールド・スタジオ。コートニー・ハートマン、ミルク・カートン・キッズ、ビル・フリゼール、リサ・ハニガン、サラ・ジャローズと豪華なゲストの客演も聴きどころですが、いちばん内省的なD面が特に素晴らしい。それにしてもサラ・ジャローズの歌声にはいつもキュンとします。

 

下左:Oh Susanna / Sleepy Little Sailor (Deluxe Edition)(MVKA, 2001, 2020)

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オー・スザンナはマサチューセッツ出身でトロントを拠点に活躍するSSW、スージー・アンガーリーダーのソロ・プロジェクト。すでに9枚の作品があり、2001年にリリースされた2ndアルバムが20周年を記念してフライング気味に昨年アナログ化されました。リマスタリングを施し、オリジナルCDの全11曲をA、B、C面に収め、D面には2000年当時のデモ・ヴァージョン3曲と今回ジム・ブライソンのプロデュースで録り直されたアコースティック・ヴァージョン2曲を収録しています。オーティス・レディングの〈I Got Dreams To Remember〉以外は全曲オリジナル。繊細ながらもエモーショナルなオー・スザンナの歌声をお聴きください。

 

下右:Louis Killen ‎/ Gallant Lads Are We(Collector, 1980)

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『The Iron Muse』『Farewell Nancy』『Tommy Armstrong of Tyneside』『Along the Coaly Tyne』などトピックの重要なアンソロジーに数多く参加しているルイス・キレンですが、個人名義のアルバムは意外と少ないようです。トピック盤『Ballads & Broadsides』やフロント・ホールの『Old Songs, Old Friends』辺りがすぐに浮かびますが、本作は1980年のアメリカ録音で、アナログ盤ではいちばん最後の作品になります。副題にSongs of the British Industrial Revolutionとあるようにキレンは英国産業革命の影響を反映したバラッドを集め無伴奏で唄っていますが、デイヴ・バーランドで有名な〈The Dalesman's Litany〉やマディ・プライアとジューン・テイバーのアカペラの感動もよみがえる〈Four-Loom Weaver〉が白眉です。

 

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