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2026-07-08 11:01:00
英国のSSW、サム・カーターから新作『Sam Carter Sings Nic Jones』が届きました。

英国のSSW、サム・カーターから新作『Sam Carter Sings Nic Jones』が届きました。

 

Sam Carter『Sam Carter Sings Nic Jones - Live at Celtic Connections』Captain Records, 26 June 2026

 

サム・カーターからの新作はタイトルのとおりニック・ジョーンズを唄ったトリビュート・アルバム。ニックへの敬意を表したアルバムと云うと1999年のジョン・ウェズリー・ハーディング『Trad Arr Jones』がすぐに思い起こされますが、ジョン・スミスやジョン・ウィルクス、サイ・バロン、ジャック・シャープなど現在の英国フォーク界においてもニックの影響は少なくないと思われます。昨年トラモナでも唄ってくれたクリス・ブレインも、その変則チューニングを多用したパーカッシヴなギターに相当ニックがお好きなのではと思い確認してみたかったのですが、ジェットラグでお疲れだったようでライヴ後早々に引き上げてしまいました。

 

で、サム・カーターですが、英国はシェフィールドを拠点に活躍するSSW兼ギタリスト。2008年のデビュー作『Here in the Ground』を皮切りにこれまでに9つの作品があります。自作曲中心ですが、〈Just As the Tide Was Flowing〉〈Oakham Poachers〉のトラッドのほかにサンディ・デニーの〈Bushes and Briars〉なども唄っています。またジム・モレイと組んだフォルス・ライツFalse Lightsの最新作『Harmonograph』ではニック・ジョーンズから学んだ〈William Glenn〉を迫力あるエレクトリック・トラッドで聴かせてくれます。

 

そんなサムの10枚目が本作で、今年の1月グラスゴーのケルティック・コネクションズで録られたライヴ・アルバムです。初期の〈Annan Water〉やジューン・テイバーやイライザ・カーシーなど次の世代の女性シンガーたちが挙って魅せられた〈Ten Thousand Miles〉などニック・ジョーンズのレパートリー13曲をギター1本で弾き語っています。このうちなんと半数以上の7曲がトピック盤『Penguin Eggs』から唄われ、云わばトリビュート・トゥ・ペンギンエッグズでもあります。『Penguin Eggs』収録曲で唄われていないのが〈The Flandyke Shore〉のみ。この曲、ジョン・ウェズリー・ハーディングが前世紀の終わりに『Trad Arr Jones』の中で唄った唯一の『Penguin Eggs』収録曲。偶然でしょうか、サム・カーターの先達ジョン・ウェズリー・ハーディングの偉業に対するリスペクトなのでは、と勘繰ってしまいます。

 

前半にはトラッド曲が並びますが、終盤9曲目は数少ないニックの自作曲〈Ruins by the Shore〉。ブルターニュの岸辺にそびえ立つ廃墟と映画『猿の惑星』でチャールトン・ヘストンが砂の中から突き出た自由の女神の松明を見つけるシーンをダブらせて描いた名曲です。続く最後の〈Farewell to the Gold〉〈The Humpback Whale〉〈Canadee-I-O〉〈The Little Pot Stove〉という『Penguin Eggs』4曲の流れは秀逸です。ニックが認めたソングライター、ポール・メツアーズとハリー・ロバートソン、そしてディランが押さえたニック・ジョーンズ(ディランが『Good As I Been to You』でニックの〈Canadee-I-O〉を唄ったのは有名な話)が並んでいます。50年近くの時が流れたアルバム『Penguin Eggs』の評価なのでしょう。いずれにしても本CD、傑作です。

 

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全13曲。収録曲は次のようになりますが、『 』書きはニック・ジョーンズの初出アルバム

01. Master Kilby『From the Devil to a Stranger』

02. Barrack Street『Penguin Eggs』

03. Clyde Water(The Drowned Lovers)『Penguin Eggs』

04. Seven Gypsies『In Search of Nic Jones』

05. Billy Don’t You Weep for Me『From the Devil to a Stranger』

06. Courting Is a Pleasure『Penguin Eggs』

07. Ten Thousand Miles『The Noah’s Ark Trap』

08. Annan Water『Ballads and Songs』

09. Ruins by the Shore『In Search of Nic Jones』by Nic Jones

10. Farewell to the Gold『Penguin Egg』by Paul Metsers

11. The Humpback Whale(Ballina Whalers)『Penguin Egg』by Harry Robertson

12. Canadee-I-O『Penguin Egg』

13. The Little Pot Stove(Wee Pot Stove)『Penguin Egg』by Harry Robertson

 

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