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カフェトラモナ1月のおすすめです。
上左:Devin Hoff / Voices from the Empty Moor - Songs of Anne Briggs(Kill Rock Stars, 2021)
米国のベーシスト、デヴィン・ホフによるありそうでなかったアン・ブリッグスのトリビュート・アルバム。と云ってもデヴィン自身が唄うのではなく、SSWのシャロン・ヴァン・エッテン、ジュリア・ホルター、シャノン・レイや ウード奏者のアレハンドロ・ファーハ、サックス奏者のハワード・ワイリーらとコラボし、この10年心酔していると云うアン・ブリッグスに敬意を表しています。女性シンガー陣による〈Go Your Way〉〈Let No Man Steal Your Thyme〉〈Living by the Water〉は云うまでもなく、ウードとベースの〈The Snow It Melts the Soonest〉と〈My Bonny Boy〉のメドレーやサックスとベースによる〈Maa Bonny Lad〉のスリリングなインストからも深いアン・ブリッグス愛を感じることができます。やはりエメット・ケリーの唄う〈Blackwater Side〉がベストトラックでしょうか。
上右:Michael Hurley / The Time of the Foxgloves(No Quarter, 2021)
昨年の暮れに御年80歳を迎えたマイケル・ハーレーの31枚目(多分)の最新作。今回のレコーディングはいつものホーム・スタジオBellemeade Phonicsに加えてオレゴン州アストリアにあるロープ・ルーム・スタジオでも行われ、12年ぶりのスタジオ録音になるそうです。全11曲中ロブ・ケラー作〈Boulevard〉とルーヴィン・ブラザースの〈Alabama〉の他は全てオリジナル。〈Love Is The Closest Thing〉〈Lush Green Trees〉など古い曲も再演され、ザ・ハックルズのルーク・イドスティとカティ・クラボーンをはじめオレゴン周辺の若手ミュージシャンによる手堅い演奏が新たな息吹をもたらしています。また齢を重ねディランと同様にキーボード演奏の多くなったマイケルですが、〈Blondes & Redheads〉ではギル・ランドリーの弾くスライドとウーリッツアーの掛け合いがご機嫌なマイケル流ロックン・ロールを聴かせてくれます。12年前の『Ida Con Snock』と並ぶ傑作です。
下左:Joni Mitchell / Live At Carnegie Hall - 1969(Reprise Records, Rhino Records, 2021)
今回アーカイブ・シリーズの第2弾から唯一アナログ・リリースされたのは1969年2月1日カーネギー・ホールに於ける伝説のライヴ音源です。デヴュー作から1年足らず、3か月後には2nd『Clouds』のリリースを控えた、この初期キャリアのエポック的公演にはディランの姿もあったとか。ジャケ写から窺えるように広いステージにはギターとピアノのみ。弾き語られたのは1st、2ndからだけでなく〈The Circle Game〉〈Little Green〉などその後アルバム収録される初期の代表曲のほかディノ・ヴァレンティの〈Get Together〉も。後にジューン・テイバーにもカヴァーされて、その由来が気になっていた〈The Fiddle And The Drum〉は、元々ピアノで作曲したが大勢の前でピアノを弾くのは緊張するのでピアノなしで唄うと前置きされ無伴奏で唄われています。
下右:Andrew Gabbard / Homemade(Karma Chief Records, 2021)
アンドリュー・ギャバードはオハイオ州出身のSSW。幼い頃から父親所有のデッドやニール・ヤング、CSNY、ニュー・ライダース・オブ・ザ・パープル・セイジなどを聴いて育ち、現在は兄のザッカリーとギャバード・ブラザースを組む傍らザ・ブラック・キーズのツアー・メンバーとして活躍しています。コールマイン・レコーズ傘下のカーマ・チーフからリリースされた本作はコロナ禍の中、一人で宅録された1stアルバム。食べ物を頰張るジャケ写とアルバム・タイトルからボビー・チャールズを想い起しますが、針を落とすとジョージ・ハリソンやジョー・パーニスを想わせるポップな歌声が心地良い好盤。自作曲のほかエミット・ローズをカヴァーする趣味趣味音楽な人だけにこの次はモア・ベターかも。
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