Information
今月も遅れてしまいましたがカフェトラモナ2月のおすすめです。
上左:The Haden Triplets / The Family Songbook(2020)
レイチェル、ぺトラ、ターニャのヘイデン・トリプレッツは、ジャズ・ベーシスト、チャーリー・ヘイデンの三つ子の姉妹。ライ・クーダー、プロデュースのデビュー作に続く第2作です。今回はウッディ・ジャクソンのプロデュースのもとジェイ・ベルローズ、ビル・フリゼール、ドイル・ブラムホールⅡ、グレッグ・レイス、ホアキン・クーダーなどが参加し、特にドイルのアーシーなスライドが前作のサウンドをよく引き継いでいます。父チャーリーの2008年作『Family & Friends : Rambling Boy』はかつてチャーリーが幼少の折に出演していたラジオ番組『Haden Family』へのオマージュでしたが、今回3姉妹はその番組の中心的存在であった祖父カール・E・ヘイデンの曲も取り上げ、ヘイデン家が育んできたアメリカン・ミュージックへの想いを更に深化させています。
上右:Jon Boden & The Remnant Kings / Rose in June(2019)
元ベロウヘッドのジョン・ボーデンのソロ4作目。今回はポール・サーティン、サム・スウィーニーなどベロウヘッドの元メンバーを含む11人編成のバンドを率いてのリリースです。全12曲中自作曲6曲、トラッド詞に自身の曲をつけたもの2曲、トラッド2曲、イワン・マッコールとケイト・ブッシュを1曲ずつ。中でも〈Rigs of the Time〉は白眉。ナポレオン戦争に続く不況に由来するトラッドで、サンディ・デニーが1972年8月6日エルタム・ウェル・ホール・オープン・シアターのコンサートで、アンコールにその日バックを務めたR・トンプソン、P・ドナルドソン、T・ドナルドのコーラスを従えアカペラで唄った曰く付きの曲です。ジョンは今回バンドのストリング・セクションをバックに溌溂と唄っていますが、この曲にはシャーリー・コリンズがヤング・トラディションと録音したヴァージョンもあり、聴き較べては如何でしょう。
下左:Songs of Our Native Daughters / Our Native Daughters(2019)
3月の来日が楽しみなリアノン・ギデンスがアメシスト・キア、レイラ・マッカラ、アリソン・ラッセルらと共同で制作したプロジェクト作品。4人のアフリカン・アメリカンが西アフリカ起源の楽器、バンジョーを携え、奴隷制時代から連綿と続く黒人女性の苦悩と抵抗、そして希望を唄います。タイトルはジェイムズ・ボールドウィンの『Notes of a Native Son』からインスパイアされたとのこと。ボブ・マーリーの〈Slave Driver〉が心に響く、ずっしりとした手応えのアルバムです。
下右:Shelby Lynne & Allison Moorer / Not Dark Yet(2017)
先月の『Come On Up to the House - Women Sing Waits』で〈Ol' 55〉を唄っていたシェルビー・リンとアリソン・ムーラーの姉妹として初のスタジオ・コラボ。12曲中11曲がカヴァーで1曲のみ二人のオリジナル。もちろんタイトル曲はディランのあの名曲で、他にルーヴィン・ブラザース、マール・ハガード、タウンズ・ヴァン・ザントなど真っ当な選曲のなか、ニック・ケイヴとカート・コバーンがキラリと光ります。プロデュースはテディ・トンプソン、2017年の作品です。
ご来店の際にリクエストしてください。