Vinyl and so on
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Nora Brown with Sarah Kate Morgan『Live From Bristol』Jalopy Records, 2023
Nora Brown and Stephanie Coleman『Lady of the Lake』Jalopy Records, 2023
ノラ・ブラウン、2023年の仕事です。
1枚はサラ・ケイト・モーガンとリリースした7インチ『Live From Bristol』。A面の〈Down in the Willow Garden〉はマーダーバラッド、B面〈Waynesboro〉はインストで、サラ・ケイトはマンウンテンダルシマーとコーラスでノラをサポートしています。
もう1枚の『Lady of the Lake』はフィドルのステファニー・コールマンとコラボした10インチ。ステファニーとのレコーディングは2019年のデビュー作『Cinnamon Tree』以来。そのステファニーは現在アンクルアールのメンバーとのこと、気づきませんでした。4曲中タイトル曲の〈Lady of the Lake〉と〈Twin Sisters〉がインストで、〈Gone So Long〉と〈Copper Kettle〉が唄もの。インストではステファニーが、唄ものではノラがイニシアティブをとっているようで、ディランも唄った〈Copper Kettle〉での益々渋くなったノラの歌声が聴きどころです。
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Cyril Tawney, Matt McGinn, Johnny Handle, Alasdair Clayre『A Cold Wind Blows - Songs in traditional styles composed and sung by』Elektra, 1966
1965年ディランのニューポートに立ち会ったジョー・ボイドは再度イギリスを訪れ、ご承知のとおりピンク・フロイドのデビューシングルをプロデュースしたり、フェアポート・コンヴェンションやニック・ドレイク、インクレディブル・ストリング・バンドなど英国のロック史には欠くことのできないミュージシャンを数多く見い出します。本作はそのボイドがエレクトラのためにエリック・クラプトンやスティーヴ・ウィンウッド、ジャック・ブルースらを集めたパワーハウス・セッションのリハーサルとレコーディングの合間に録った初プロデュース作品です。
副題にあるようにトラッドのスタイルで曲作りをし唄う4人のフォーク・シンガー、シリル・タウニー、マット・マッギン、ジョニー・ハンドル、 アラスデア・クレアの歌声を収録したアンソロジーで、録音は1966年1月にエジンバラ(マッギン)、ニューカッスル(ハンドル)、ロンドン(クレア)の3箇所で行われ、シリル・タウニーだけ4月のロンドンで録られています。
ボイド自身は個人的なお気に入りとしてジョニー・ハンドルの〈Because It Wouldn't Pay〉をコンピレーション『ジョー・ボイドの仕事』に収録していますが、圧倒的に素晴らしいのがシリル・タウニーの無伴奏で唄われる〈Five Foot Flirt〉〈On a Monday Morning〉〈Sammy's Bar〉〈The Oggie Man〉の4曲。どの曲も後に様々のシンガーにカヴァーされていますが、なかでも月曜の朝の憂鬱を唄った〈On a Monday Morning〉は古くはピーター・ベラミーやマーティン・カーシー、ルイス・キレン、ニック・ジョーンズなどに唄われ、数多くの名唱を生んでいます。ジョニー・ハンドルのハイ・レベル・ランターズはもう一人のシンガー、トム・ギルフェロンがノーサンブリアン・パイプのドローンをバックに唄い、レイチェルとベッキーのアンサンク姉妹はピアノの伴奏で唄っていました。最近では昨年のベストアルバムの誉れの高いランカムの『False Lankum』でも唄われていたのが記憶に新しいところです。そんな誰からも愛された名曲の初出が聴けるのもこのアルバムの魅力ではないでしょうか。
ちなみにアラスデア・クレアのセッションではペギー・シーガーがバンジョーやダルシマーなどでサポートし、うち1曲にはマーティン・カーシーもギターで参加しています。またジャケットの写真はボイドとUFOクラブを一緒に立ち上げたジョン・ホプキンスが担当しています。
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![Nick Hart & Tom Moore『The Colour of Amber』](http://cdn.goope.jp/68196/240121165052-65acccdcb70ab_l.jpg)
Nick Hart & Tom Moore『The Colour of Amber』Slow Worm Records, 22 November 2023
昨年リリースされたニック・ハートの最新作が届きました。『Nick Hart Sings Eight English Folk Songs』を振出しに『Nine』『Ten』と続いたシングス・イングリッシュ・フォークソング・シリーズは小休止。1枚目からずっとニックをサポートをしてきたMoore Moss Rutterのトム・ムーアとの共演盤です。今回はお馴染みのギター弾き語りは封印し、自身の弾くヴィオラ・ダ・ガンバとトムのヴィオラ、そして後からダビングされたハーモニウムのドローンで唄っています。
クラシカルな演奏にのせて唄われるのはジョン・カークパトリックがブラスモンキーで唄った〈The Jolly Bold Robber〉やマーティン・カーシーの〈Three Jolly Sneaksmen〉などトラッドが6曲。いずれもゆったりとしたテンポで唄われ、穏やかな歌声には温かみが溢れています。最後の〈Bold Riley〉は『A Sailor’s Garland』におけるA・L・ロイドの歌唱が初出のシーシャンティ。元ラムズ・ボトムのキース・ケンドリックに多くを負っているとライナーには記されていますが、むしろケイト・ラスビーのヴァージョンを想いおこす方が多いのでは。揚帆作業で唄われるハリヤードをニックはテンポを落とし、まるでエレジーのように唄っています。
またトムのヴィオラをフューチャーしたインスト4曲も素晴らしく、〈Swaggering Boney〉〈Constant Billy〉など モリス・チューンやジョン・プレイフォードのダンシング・マスターから〈The Child Grove〉のカントリー・ダンス・チューンが、ヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバのイナたくも優雅な演奏で堪能できます。そして〈Flowers of Edinburgh〉はプラントライフの名アンソロジー『English Melodeon Players』(1986)からトニー・ホールの演奏をお手本にしたもの。母親の胎内にいるときからトニーのメロディオンを聴かされていたトムにとってトニーの音楽は今でも根強いお気に入りだとか。唄も演奏も良し。鮮やかさが際立った、昨年聴いた中でも指折りのアルバムです。
ちなみに『English Melodeon Players』にはトニー・ホールのほかロッド・ストラドリング、ロジャー・ワトソン、デイヴ・ロバーツなどの素晴らしい演奏が収められていますが、同レーベルには『English Fiddle Players』と云うアルバムもあり、どちらも必聴です。
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![IMG_0993.JPG](http://cdn.goope.jp/68196/231225151747-65891e8b521a5_l.jpg)
Eliza Carthy & Jon Boden『Glad Christmas Comes』Hudson Records, 1 December 2023
イライザ・カーシーとジョン・ボーデンの新作クリスマスアルバムがやっと届きました。真っ先に針を落としたのがポーグスの〈Fairytale Of New York〉。イライザのフィドルとジョンのコンサティーナで唄われ、前奏や間奏ではユアン・ウォードロップによるモリスダンスがフィーチャーされています。そのザックザックと地を這うようなジグのリズムがこの11月に亡くなったシェイン・マガウアンの魂を鎮めるかのように響き、いかにもイングランドのふたりらしいアレンジで今となってはもう聴けないマガウアン&マッコールを唄いきっています。今年唄われるべくして唄われたクリスマスソングではないでしょうか。
他に生前のノーマ・ウォータソンに収録を薦められたジーン・リッチーの7分に及ぶ〈Wintergrace 〉やエミリー・ポートマンとティム・ヴァン・エイケンのコーラスが素晴らしい〈Beautiful Star〉と〈Remember O Thou Man〉、ヨークシャーのバックステージ・ブラスがニューオリンズの雰囲気を醸す〈I Want a Hippopotamus for Christmas〉など聴きどころ満載のクリスマスアルバムです。
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![Jeb Loy Nichols『Going to the Pub (On Christmas Eve)/Very Little Christmas』](http://cdn.goope.jp/68196/231218184014-6580137ebd482_l.jpg)
【Christmas Albums】
Jeb Loy Nichols『Going to the Pub (On Christmas Eve)/Very Little Christmas』2023
ジェブ・ロイ・ニコルズがクリスマスソングを配信のみでリリースしました。1曲目はイアン・ゴムと共作した〈Going to the Pub (On Christmas Eve) 〉。イアン・ゴムとのコラボと云えば2010年の『Only Time Will Tell』を思い起こしますが、これは新録。エドワードIIのリース・ウェッソンの弾くアコーディオンを除き、ギター、ベース、キーボード、ドラムと全てクロヴィス・フィリップスが担当し、ジェブとイアンをバックアップしています。録音はクロヴィスのアッド・ア・バンド・スタジオで行われ、2曲目の〈Very Little Christmas〉はクロヴィスとの共演。どちらもジェブ・ロイらしいカントリー・ソウルなクリスマスソングです。
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